― 御社にとっていま最も重要な経営課題は何か。
(吉岡社長) 人の採用の問題だ。当社は茨城県坂東市を拠点にしていて、圏央道の開通で坂東ICができ、工業団地もできて大手メーカーが誘致されるなど商材は拡大しそうなのだが、その半面周辺に物流センターが相次いで建設されて作業員を大量に募集しだした。人材紹介会社は一定水準の支度金、給与のほか寮の設置など求め、この結果、人件費が高騰し倉庫要員がなかなか採用できず、引き抜かれる懸念も出てきている。
― そうした状況に御社としての対応策は。
(吉岡社長) この状況は2年ほど前から予想していたので、社内に人事部門とは別に採用専門の担当者を置いて募集活動し、ホームページや職安その他、有償無償の募集をドライバーなら車種別に分けたり、寮を用意し全国を対象にするなど実施した。ドライバーについては評価制度見直しによる賞与、昇給制度などで給与改善を行った。トラックの清掃でも10分しかかからない洗車機を導入して時短したり、監査部を設けて車両管理の徹底や倉庫の整理整頓、残業規制など安全・事故防止策を行った。こうした職場環境の見直しを行ってはいるが、人材採用の競争環境はかなりなお厳しい。
― 昨年の運送約款の改定に対して御社はどのように対応したか。
(吉岡社長) 待ち時間や荷役作業など付帯料金を盛り込んだ改定約款を早急に届け出た。以前から顧客との物流安全会議を月1回開いて人手不足など問題点を話し合ってきたが、これを機にその後は約款上の点で見直しを要請。積み込みの待機は1時間いくらもらうとか、夜の拘束料は何時までは仕方ないが、その先はいただくとかしっかりと協議した。困ったのは配達先の物流センターで待機させられることだが、これもしっかりとデータを取って表にまとめて顧客に説明することで、だんだんと理解してもらっている。ある意味で今回はよいチャンスであり、今年中にメドをつけたい。
― 行政や業界に要望や訴えたいことがあれば。
(吉岡社長) これは高速道路会社になるのだが、トレーラーで軸重が偏って違反とされ、それによって点数制の高速料金の割引が使えなくなることがあった。軸重は料金所を通過する時に計測されるのだが、通過する一瞬に一つの機械で本当に正確に計測できるのか、いつも疑問を感じている。
他社ではこの件で裁判を行っているケースもある。当社では違反警告書を送ってきたケースで反論したが、警告は警告ですと言われ相手にされなかった。アクセルの状態によって急発進した時など貨物によっては集中的に加圧されることもあり、いまどき軸重だけで重量違反とするのは時代遅れだし、改善してほしい。スピード規制もそうだが、トラックは何かにつけ、規制でがんじがらめとなっている。例えば乗合バスはスピードリミッターも、バックアイカメラも義務付けされていない。同じ営業ナンバーをつけながら不平等と言わざるを得ない。
(聞き手:葉山明彦)