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DHLグループ 医薬品輸送のクライオPDP買収

Daily Cargo  2025年4月2日掲載

 

DHLグループは3月31日、医薬品専門の物流サービスを展開する米クライオポートグループの温度管理輸送部門であるクライオPDPを買収すると発表した。クライオポートから全株式を取得する。クライオPDPは臨床試験、バイオ医薬品、細胞・遺伝子治療などに特化してサービスを提供しており、極低温を含む温度管理輸送を得意とする。DHLグループは買収により、ライフサイエンス・ヘルスケア分野での競争力強化を図る。併せて、クライオポートとサービス強化に向けた戦略提携も結ぶ。買収と戦略的提携は関係当局の認可が前提となる。

■クライオポートと戦略的提携も

クライオPDPは、製薬メーカー、大学、病院、研究機関など向けに温度管理貨物のホワイトグローブサービスを主力としており、15カ国で事業を展開。年間60万件以上の取り扱い実績を持ち、世界135カ国・地域以上の顧客と患者にサービスを提供している。日本でも2023年から本格的に事業を展開している。

DHLグループは今回の買収について、温度管理ネットワーク、ファーストマイル・ラストマイルの専門的な配送、統合ソリューションの強化に取り組む2030年に向けた事業戦略に沿ったものと説明している。同社はこれまでもライフサイエンス・ヘルスケア分野に注力しており、24年には同分野関連の売上高が50億ユーロを超えたという。クライオPDPの買収により、専門的な医薬品物流をさらに強化し、同分野でのサービス提供範囲を拡大していく。

DHLサプライチェーン(DHL・SC)が中心となり、クライオPDPの輸送専門知識と、DHLエクスプレス、DHLグローバルフォワーディングの航空輸送機能を組み合わせ、医薬品物流の強化に取り組む。また、クライオポートとの戦略的提携では、DHLグループの各事業部門で関係を強化し、医薬品物流の専門性を高めるとともに、同分野でのプレゼンス向上を図る。

クライオポートグループは、クライオポートを持株会社とし、クライオPDPのほか、ドライシッパーなどの温度管理ソリューションを提供するクライオポートシステムズなどを傘下に抱え、バイオ医薬品に重点を置いたサプライチェーンソリューションを提供している。当初は容器メーカーとしてスタートし、20年にクライオPDPを買収していた。

DHL・SCのオスカー・デ・ボックCEOは「当社は従来の医薬品やライフサイエンス・ヘルスケア分野での存在感をさらに高めるだけでなく、臨床試験、バイオ医薬品、細胞・遺伝子治療の進化するニーズを満たすために医薬品専門ネットワークを拡大することを目指している。クライオPDPの買収とクライオポートとのパートナーシップ拡大により、エンドツーエンドの統合ソリューションを提供できるようになり、サービス能力が強化される」とコメントしている。

クライオポートグループはDHLとの提携により、欧州・中近東・アフリカやアジアでの事業展開の加速につなげる。クライオポートのジェレル・シェルトンCEOは「戦略的パートナーシップは、DHLのサプライチェーンとクライオPDPの強力な専門知識を活用し、クライオポートがアジアや欧州、中東、アフリカなどの世界的な成長市場への展開をさらに拡大する大きな機会となる」とコメントしている。


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