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NVOCC・海上混載各社 EU新輸入管理システムでチャージ導入

Daily Cargo  2025年2月12日掲載


NVOCC・海上混載各社で、日本発欧州向けの輸出LCL(海上混載)貨物に新たなチャージを導入する動きが出ている。欧州連合(EU)が移行を進める新輸入管理システム(ICS2)において、貨物情報の事前申告が必要となることに伴うもので、既に導入を公表している各社の料率はB/L(船荷証券)当たり35~50ドルほど。4月からのICS2への本格移行に合わせて、同様のチャージを導入する事業者はさらに増えるとみられる。

EUは税関のセキュリティ対応強化を目的に従来のICSからICS2への移行を進めており、2021年からは導入の第1段階として、航空輸送されるエクスプレスと郵便の一部を対象に、航空貨物情報の搬入略式申告(ENS)と搭載前報告(PLACI)を求めていた。第2段階を経て、第3段階では23年3月から全ての航空貨物に、昨年6月から海上貨物に対象が広がった。最初はマスターB/Lから24時間前事前申告ルールの適用を開始し、12月からはハウスB/Lにも範囲を拡大。今年3月までを移行の準備期間とし、NVOCC・海上混載各社にも手続きへの対応が求められるようにな
った。

事前申告が必要となるのはEU加盟国、スイス、ノルウェー、北アイルランド向けなどの貨物と、これらの対象国を経由する貨物。申告作業にかかる手数料として、既にチャージを導入した企業もある一方、複数のNVO事業者は「ICS2への本格移行に合わせて、4月ごろから導入予定」とする。最終的には「各社ともチャージを導入する方向で、足並みをそろえるだろう」(同)との見通しだ。

現在は自社システムの構築など、4月に向けて各社対応を進めている段階とする。多くの事業者が「規制に則って申告をしていれば、今のところ特に問題はない」としつつも、あるNVO関係者は「ペナルティがどんなものになるかなど、まだ不透明な要素も残っている」と今後を不安視する。また、別の関係者からは「業務量が増えて、人繰りが大変だ」「自社システムの導入が完了し、作業環境は落ち着いてきているものの、やはり手続きが煩雑」との声もあがる。一部関係者はこうした負担感を踏まえて、将来的にチャージが値上がりする可能性も指摘している。


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