Daily Cargo 編集長のこの1本!

釜山港 北米向け集貨拡大策が奏功 24年の米国向けTS貨物は18%増

Daily Cargo  2025年1月17日掲載


韓国・釜山港は、主要コンテナ船社に対して、アジア―北米航路における釜山港寄港を呼び掛けている。コンテナ船社のアライアンス再編が行われる中、北米航路における北東アジアのラストポートとしての優位性をアピールすることで、利用促進を図っている。こうしたポートセールスの結果、2024年の米国向けのトランシップ貨物は前年比18%増、カナダ向けのトランシップ貨物は17%増と急激に伸びる見通しだ。

釜山港の2024年のコンテナ取扱量は、過去最高の2430万TEUに達する見通しだ。前年の23年は2315万TEUだったが、トランシップ貨物の増加が全体を牽引し、約5.0%増加する。予想の内訳を見ると、輸出入貨物は1.4%増の1090万TEUとなるが、トランシップ貨物は約8.0%増加し、1340万TEUに達する見込みだ。

最近、特に力を入れているのが北米向けのトランシップ貨物の誘致だ。釜山港には中国や日本、東南アジアを結ぶフィーダー航路数が充実している。フィーダー航路を活用して釜山港にコンテナ貨物を集約することで、北米航路をはじめとした基幹航路の誘致を促進している。釜山港湾公社は、「アジア―北米航路に投入される北米向けのコンテナ船が太平洋横断前に釜山港に寄港する場合、アジアのどの港湾よりも高い積載率を確保できる。船社にとっては釜山港をアジアでのラストポートとして活用することで、船隊運用効率を最大化でき、釜山港としては大量の積み替え貨物を誘致することができる」としている。同社によると、昨年8月時点で釜山港がアジア側のラストポートになるコンテナ船サービスは、北米向けで26航路、南米向けで13航路となっており、ともに1位となる。こうしたデータを活用しながら、コンテナ船社へのセールスを進めている。

アライアンスの再編といった環境変化に対応するため、港湾の機能強化も進めていく。韓国海洋水産部は昨年12月、「グローバル拠点港湾構築戦略」を発表し、釜山港の港湾競争力を世界トップ3に引き上げる目標を掲げた。釜山新港に加え、隣接地に新たな大規模コンテナ港湾となる鎮海新港を造成する。シンガポール港で造成中のトゥアス地区と同じ合計66バースを釜山港に構築し、現存するコンテナ船の世界最大船型である2万4000TEU級を超え、3万TEU級のコンテナ船が安定的に接岸できる港湾施設を導入する予定だ。コンテナ保管スペースも既存のふ頭より1.5倍広い敷地で整備していく。

また、ターミナルの運営統合も進めていきたい考えだ。釜山新港では現在、バースによってターミナル運営会社が分かれており、ターミナル間の積み替え貨物の移動やアライアンス再編などに効率的に対応できない点が弱みとしてあった。これまでも海洋水産部と釜山港湾公社は運営統合に関する議論を何度も進めてきたが、ターミナル運営会社間の複雑な利害関係により進展しなかった。こうした中、今回の戦略では海洋水産部として改めて運営会社の統合案を提示。運営会社が統合された場合、施設統合費用や賃貸料などのインセンティブが提供されることが盛り込まれており、釜山港湾公社によると、計画発表後には運営会社内部で運営統合に関心を示すところが少なくないようだ。

釜山港として今後も、フィーダー船と母船の接続の精度や利便性を高めることで、主力とするトランシップ貨物の誘致を進めていく。


国際物流のニュースを毎日お届け!
⇒ http://www.daily-cargo.com/

Daily Cargo 編集長のこの1本!

当社へのお問い合わせはこちら