アイオイ・システムを子会社化 凸版印刷、物流DX本格参入
Daily Cargo 2021年6月2日掲載
凸版印刷は28日、「デジタルピッキングシステム」などを開発するアイオイ・システム(本社=東京都大田区、多田潔代表取締役社長)を買収し、子会社化すると発表した。両社の持つ技術やノウハウを組み合わせて、物流業界でのデジタルトランスフォーメーション(DX)市場へ本格参入する。今年後半にも協業による事業活動を開始する。
アイオイ・システムの発行済み株式の75.8%を取得し、来月にも子会社化の手続きを完了する。両社でピッキング・仕分けの合理化需要への対応、各種データの取得と利活用の検討、新規ビジネスの創出に取り組む。
具体的には、機械化が進む大規模倉庫ではピッキングとロボティクス技術などを組み合わせた「マンマシンシステム」を構築する。中小規模のアセットライトなピッキング・仕分け需要に対しては、各種システム製品を組み合わせて作業者の能力やスキルを補完する合理的な作業環境を提供する。システムに加え、現場作業自体を受託する事業も検討する。
物流作業現場や商品の物流工程上の各種データを効率的に取得する方法を検討する。現場改善や作業効率の向上を図るとともに、商品の品質保持やトレーサビリティによる事故防止など新たな価値提供につながるデータの取得と利活用の方法を研究する。
ピッキング・仕分けだけでなく、検品や梱包、配送などを含む一連の物流工程にかかわる「次世代DXビジネス」を創出する。物流工程全体の「見える化」に資する新サービスの設計やラストワンマイルの配送工程での搬送ロボットを活用するビジネスの立ち上げなどを検討する。
アイオイ・システムは1984年設立。国内外72カ国・地域のeコマース倉庫や3PLの配送センター、組立工場などにデジタルピッキングシステムを納入してきた。主力のデジタルピッキングシステムをはじめ、プロジェクターでさまざまな形状の棚やタックに光を当ててピッキングを指示する「プロジェクションピッキングイステム」などを提供。ピッキングミスや誤投入防止のため棚の前方面に開閉式シャッターを設置した「シャッターアソートシステム」や、通い箱の表示用として繰り返し書き換え可能な電子ペーパー付きIDカード(スマートカード)などを製造・販売している。
凸版印刷は、物流関連ではRFIDを活用したトレーサービリティシステムや製造工程のデジタル化を支援するDXソリューション「NAVINECT」の拡充、ロボット技術の研究などに取り組んでいる。両社は新たなデジタルソリューションの提供で、流通や食品、製薬など多業界の物流効率化を実現する。さらに多くのパートナー企業との連携によって、物流工程全体の合理化による業界の発展と社会的コスト削減を目指す。
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