― 新型コロナ騒動を境に人手不足や採用事情に変化はあったか。
(弓野社長)ドライバーの応募者は増えたが、当社の求める人材に適合する人材というと厳しさは続いている。ただ、新潟で5月に新拠点を開設した際のドライバーの応募者は多く、早い段階で人数をそろえることができた。来年入社の大学新卒者はたくさんエントリーしてもらい、内定者の辞退も少なかった。新型コロナ禍での今年の採用活動は初めて2次面接までをオンラインで行い、役員面接から対面する方式をとったが、良い人材を採用できたと思っている。高卒新卒者はドライバー職として採用するが、現在4名の内定を出しており、近年ではかなり多く確保できている。
― 世界的に新型コロナ禍が蔓延する中で国際事業や海外拠点の近況について伺いたい。
(弓野社長)中国は2月の生産中止から始まり、一時はかなり厳しい状況だったが、今はほぼ平常に稼働している。米国向けはガンダムのプラモデルなど輸出は増えているのだが、新型コロナの影響で、アメリカでのドライバーが不足しており、中国からアメリカ向け貨物の渋滞が発生している。そのためアジア向けのコンテナが戻ってこない状況となっており、物流が厳しい状況にある。政情が混乱する香港やタイでは、当社の物流運営は今のところ特に大きな問題は出ていない。
― 弓野社長は新型コロナ問題の真最中だった4月に社長に就任されたが、経営トップになってこの半年を振り返り思うところは。
(弓野社長)就任前からコロナ問題が巻き起こってたいへんな中で社長になったが、従業員向けに物流事業者の使命として事業を継続しなければならないというトップメッセージを発した。その後も予防は徹底しながらも「物流は止めない!届けきる」というメッセージを何回か出した。この使命を果たすため、全従業員に理解してもらい協力してもらった。その意味で感謝の気持ちは強く、7月に少ないながら全員に特別協力金を出した。
― ウイズコロナの時代がしばらく続きそうだが、今後の方針は。
(弓野社長)この1年間、いろいろな業務で、従来と違う働き方ができるのがわかった。拡大できる分野にはオンライン化をさらに広げていきたいが、一方で対面でのコミュニケーションの大切さも業務内・業務外で忘れてはいけないと思っている。当社では毎年ボウリング大会を開き、全社をあげて楽しむ催しをやってきたが、今はできなくなった。コミュニケーションをどう活発化させて、一体感を作っていくか、大きな課題だと思っている。
業績面では1~3月に相当な危機があったものの、グループの事業が好調だったこともあり、当社も回復の兆しが見えた。ただ、玩具類は波動が大きいので過剰配置に気をつけながら来期に向けやっていかねばと思っている。本来、今年度が3か年中期経営計画の最終年で、来年度から新中計に入るところであったが、新型コロナウイルスで来年の環境が不透明となったため、グループでは来年度の1年間は準備期間とし、その翌年度から新中計をスタートさせることになった。物流会社としてはやるべき方向性は大きく変わらないため、当社は4年計画として策定を進めることにした。時代の変化を大胆に取り込み、人材の活用・育成も含めより大きく充実させていくことをめざす中計を策定していきたい。
(聞き手:葉山明彦)