― 新型コロナに対し、事業的な面での対応は。
(藤倉社長)実は昨年、知人を通じて同規模くらいの運送会社のM&Aを頂き、年明けの1月末から協議に入ったのだが、その矢先に横浜でクルーズ船の大クラスターが発生し、時期的にこれと並行しての話し合いとなった。取り扱い品目は医療器具配送が半分以上で他に食品輸送も行っているが、近年、運賃料金と人件費が見合っていなかったこともあり厳しい状況にあった。ただ、冷凍冷蔵車などの特殊車両がなく、当社の業務とうまく融合していけば収支改善できると考えた。3月末の資本提携直後は不安な社員も多くいたが、結果的に社員30人・車両30台の以前と変わらぬ陣容で4月1日から新たな船出にたどりつき、社員みんなの頑張り、お客様の支援のお蔭でこの半年間なんとか頑張ってやってくることができた。
― 新型コロナが拡大する中で、思い切って踏み出せた要因は。
(藤倉社長)当社も昨年までは人手不足による採用難で、募集しても人がまったく来なかった。30人のドライバーは平均年齢こそ高いがすぐ稼働できるのが魅力だった。私は4年前まで東京都トラック協会の足立支部長を務めていたが、その時に運送会社の後継者難などでM&Aの話を傍らでたくさん見ていた。そっくり大手に持っていかれるのは忍びなかったが、同じコミュニティーの中で今回のような受け皿を作り、寄り添っていけばやっていけると実感した。今後も機会があればM&Aを行っていきたい。
― 新型これから未曽有のウイズコロナ時代がしばらく続くことになりそうだが、今後の方針についてお聞きしたい。
(藤倉社長)平均年齢が高いので先の事を考えたらいずれ少しずつ若返りをしていかねばならないが、今は新規採用を急がず、人とトラックの再編成に力を入れている。「誠実と感謝の心で人づくり」の経営理念のもと、人作り、社員育成に注力していく。そして今後も大型免許取得支援をしていきながら、ドライバーの層を厚くして、できる仕事の幅を拡げていきたい。まだまだ収まらぬコロナ禍の中ではあるが、今までやってきたことに自信をもって粛々とやっていくしかないと思っている。今回のM&Aを成功させて、零細企業でもこんな事ができる、ということを社内外にアピールし、今後に繋げたいと思っている。
(聞き手:葉山明彦)