― 新型コロナ問題に対して御社がとった措置は。また6月中旬の自粛解除後も継続していることは。
(保坂代表)まず出勤については、管理職は会社所有の乗用車を貸与し通勤するようにしたほか、公共交通機関を利用する通勤者は全員、テレワークに変えた。これを機にパソコンを脱デスクトップでノート型に切り替えた。マスクは会社として6000枚購入し、全9拠点に配布したほか、家族用に全員25枚を供与した。この他、日常生活にご不便のあるご両親向けには申請すると1箱50枚をプレゼントした。社内の衛生面ではスプレー除菌薬を各事業所入口に設置したほか、三密を避け会議室もオフィスとして使用し、常時窓を開けるなど換気対策をとった。その後の勤務体制としては、コロナ対応を経てデジタル化構想をまとめ、リモートワークを継続、推進している。会議も情報共有が目的の営業会議や所長会議など、経営の意志決定が必要なもの以外はリモート化した。衛生面のマスク着用、手洗いなどはもちろん継続している。
― 次に採用事情だが、新型コロナ問題が起こる前と後で変化はあったか。
(保坂代表)応募者は新卒も含め明らかに増えている。メディア広告の募集だけでなく、社員からの紹介も増えて即戦力の人材が採れている。コロナ前に必要数は充足していたため現在はドライバーも倉庫作業員も採用を止めているが、大学新卒は2人採用し、この後もう2人採るつもりだ。
―人材の育成、教育はどのように行っているのか。
(保坂代表)ドライバーや作業員は中途採用で即戦力者、大学新卒のみ毎年定期採用しているが、OJT(オンザ・ジョブ・トレーニング)を基本に各拠点にいるメンター(指導員)が教育するシステムを作っている。安全大会は3か月に一回、全員参加で新型コロナ下でも中断なく行った。
― 新型コロナ対応にも関係するかもしれないが、働き方改革への取り組みの近況を教えてほしい。
(保坂代表)労働時間を見える化したロジ怠勤システムを導入し、新型コロナによる就労変化と同時並行的に管理職による残業管理を進めている。総務室が毎月25日、全社員の総残業時間を記載したシートを配布し、各拠点長がそれを基に抑制管理を行っている。また、事業所では所長が直接、収益管理する体制にしたため、残業基準を超えたケースがあれば各事業所で残業を減らすには何台、何人でやればよいのか迅速に改善に取り組む体制ができた。また、テレワークについては、育児にかかわる女性社員が働き易くなり、習得とともに効率化が進んできた。
― 最近は国土交通省が標準的運賃を提示するなど運賃改善のムードが高まっているが、御社として運賃問題にはどのように取り組んでいるのか。
(保坂代表)当社は以前から運送の前後に付加価値を付けて収益を上げることに取り組んできたため、今回の標準運賃は特に意識をしていない。付加価値というのは組立てや倉庫業務、搬出入などのほか車種はトレーラー、ウイング車、エアサス車から2トン、4トン、軽自動車までそろえ、取り扱いも建材・部材、橋梁などインフラ関係、廃棄物など多種多様だ。営業利益率10%、粗利28%を目標にしていて、ミニマム運賃を決めて全クライアントと改定交渉を行い、基準が満たされない場合はやめさせてもらう。