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航空貨物以外を拡大しリスクヘッジ / ポストコロナ、若手採用し体制作り

物流業Now!(2)
ILRS&NEWS (Vol.513)
 

(株) ロジックスライン 沢田社長


 
新型コロナウイルスの日本における感染拡大でこの間、御社が取り扱う貨物の荷動きにどのような影響があったのか。

(沢田社長)当社は輸入航空貨物の取り扱いが主だが、4月以降大きく落ち込んでいる。時系列的に振り返ると、航空貨物は昨年秋口から落ち込み、そのまま弱含みで年を越した。1月中旬に武漢で新型コロナが発生したのを聞いて、ホテルでの会議と食事会をとりやめ、その後クルーズ船の感染で恐怖を感じたが、荷動き自体は3月の年度末に向け落ち込みもなく、むしろ3月の売り上げは伸びた。これは新型コロナの拡大で国際線の発着空港が成田と関西空港に絞られ、特に成田には地方向けの航空貨物が集中したこともある。私自身、3月の時点では暖かくなれば新型コロナ騒動は収まるかとみていたが、その後は逆に国際線が飛ばなくなり、4月には緊急事態宣言が発せられ、国際便(旅客)は前年比85%減となり航空貨物も大幅に落ち込んだ。

当社はこれではいけないと食品など国内貨物の仕事を取り込み、幸いこれらを大量に取り扱うことができたので、4月は全体では5%減と航空貨物の大幅減の帳尻を合わすことができた。ただ、5月のゴールデンウィーク明け以降も航空機が飛んで来ず,国内の食品関係も供給量が安定して減ったため、5月は全体で27%の大幅減だった。6月は日本の工場が再開して、海外から原料や部品調達で航空機のスペースがひっ迫し、船に回る貨物も多くなったのでさらに悪い。現状はリーマンショック時に比べてももっと厳しい状況だ。

― 新型コロナ問題が起こってから人手事情に変化はあったか。

(沢田社長)当社の場合は世間の人手不足感と異なり、昨年春あたりから成田という地域事情もあるのか、若い人がドライバーで応募してくるようになった。みな未経験者だがいま20歳代が9人いて、準中型免許に対応した2トン車(車両総重量5トン未満)を2台入れた。次は会社で大型車の免許を取ってもらう。現状は新型コロナで仕事がないが、雇用調整助成金を活用して雇用を継続し、荷動きが戻ったらドライバーも車もいるという体制を築いておきたい。

― 運賃の改善についてはどう考えるか。

(沢田社長)国土交通省が提示した標準的運賃が4月に運輸審議会で承認され、即日実施となった。ドライバー不足やコンプライアンス順守など背景にあったとはいえ、かつて規制緩和されて以来行政がこうした措置をとるのはなかったので、その意味ではよかったと思う。ただ、タイミング的には新型コロナでマーケット状況が急変したこの時期に出たのはよくなかった。荷主との運賃交渉も円滑に進められる状況ではないが、少しでも標準的運賃に近づけていきたい。新規顧客には、これを基準に見積もりを策定している。

 ひとまず緊急事態が終わって経済活動全般が再開された。ポストコロナ時代に向けて考えていることは。

(沢田社長)新型コロナは学ぶことがいろいろあった。これまで2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災と急激な景気後退を経験し、リーマンショック以上の不況はこの先ないかと思っていたが、今回の新型コロナは史上最大のマイナス成長となりそうだ。運送業では拡大路線で急成長を遂げていた新進気鋭の運送会社が倒産し、観光業でもインバウンドに依存したホテル、バス会社の集客や収入が大幅に減少するなどした。我々も航空貨物に頼りすぎ、新型コロナの影響が大きく出たので、これから航空貨物以外の分野を拡大し、リスクヘッジをはかっていきたい。航空貨物の特性で現在はスポット便が99%という状況だが、これからは定期便を増やしていく。これまでは既存客を満足させることを第一義にしてきたが、難しくても幅広い荷主層に食い込んでいかねばと思っている。社内的には社員とのコミュニケーションを円滑にし、社員を心配させないように、大事な経営事項や決定をできるだけ早く社員に伝えるようにしている。

(聞き手:葉山明彦)


株式会社 ロジックスライン
千葉県成田市本三里塚1001-501

代表取締役 沢田 秀明
ホームーページ http://logics-line.co.jp/

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