― 新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が5月26日に解除されたが、新型コロナ騒動が起こってから神奈川県下で御社が取り扱う物流マーケットはどのような状況だったのか。
(三田社長)当社は食品や医薬品の取り扱いが多いのだが、食品に関してはスーパーマーケットのうちネット系が前年比150%、実店舗系が110~115%、医薬品を扱うドラッグストアが120~130%と発令後増加基調で推移した。この一方、外食産業関連は60~70%と大きく落ち込み、メーカーは閉店が多かったコンビニエンスストア向けが70%なのに対し、スーパーマーケット向けが110~120%と仕向け先によって大きく分かれた。
― 降って湧いたように突然襲ってきた新型コロナで、御社として特段対応したことは。
(三田社長)まず、基本方針として今後センター内で罹患者が出ることを前提に、濃厚接触者を極力減らす対策を講じて、センター運営を維持することを決めた。物流センターには約1000人が働いており、家族を含めると誰か感染者が出るのを前提に、物流センターの特徴、仕事のやり方をシミュレートして細かい対策をとった。具体的にはマスクの完全着用、休憩所での三密対策の徹底に重点を置き、①各センターでの非接触検温器具の導入、出勤時の検温・報告を徹底、②次亜塩素酸水生成装置を購入し各センターに配給、加湿器で次亜塩素酸水を休憩所に噴霧、③10万枚規模でマスクを購入し、全スタッフのマスク完全着用、希望者には業務外のマスク購入も代行、④マスク完全着用前は各センターで濃厚接触者に該当する作業担当を自主分類し、顧客と事前協議、⑤特別手当を支給、⑥Web会議システムを導入し、テレワーク用ノートパソコンを購入――など実施した。
― 新型コロナ問題が起こってから人手事情に変化はあったのか。
(三田社長)総合職、パートを問わず、応募エントリーが多くなっており、集まりにくいエリアも通常の4~5倍は来ている。当社の場合、生活必需品の取り扱いが多く、この間は通常期よりも人員が必要となったが、通常なら人員確保が難しい土日曜やゴーデウィーク中も出勤率を高めることができ、かなり助かった。難しかった現場管理者クラスの採用もかなりできるようになった。また、直接雇用を増やして派遣比率を下げている。現場ではパートが不足して派遣社員の単価が上がっているので、自社で取り込める仕事は直接雇用していく。
― 次に働き方改革について。この数か月、新型コロナ問題に覆われてしまった感があるが、御社の働き方改革の取り組み状況は。
(三田社長)長時間労働の改善については、6年前から取り組んでいて、着実に成果を上げてきた。昨年からは管理者の責任で、パートも含めた全従業員の勤怠管理表を作って徹底し、場長会議を毎月開いて改善をはかっている。今年度は全社員5連休以上の取得をめざし、各センターの取得計画もすでに策定済みだ。改革支援のためのシステム、マテハン関係の導入、ペーパレス化、数値管理の徹底など次の改善余地も見え、継続して取り組んでいく。一方、今回の新型コロナ対応では前述したとおり、本社でテレワーク、時差出勤、オンライン会議が強力に推進され、経営会議以外はオンライン会議でやることになり、働き方改革の面でも成果があった。
― 運賃問題への対応は。
(三田社長)前期から採算上で課題のある荷主には改定交渉を重ねてきたが、ほぼすべての荷主にご理解をいただき、運賃改定は一服した状況だ。直荷主が多く、直接やりとりできたことが大きかった。
― 緊急事態宣言も解除され、営業面などでこれから本格的に取り組む点は何か。
(三田社長)新座(埼玉県)に1万1000坪の倉庫を2月に竣工、3月にオープンしたのだが稼働状況はまだ半分。新型コロナ問題で残りの空き区画を客が内見もできず、計画が凍結されている。まずはこのスペースを埋めていかねばならない。神奈川県央に強い当社にすれば新座は新たな展開地で、労働力確保や都心アクセスなどにらみながら、ネット通販や宅配も視野に将来的には神奈川のように周辺展開を進めていきたい。
(聞き手:葉山明彦)
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