営業所間で余力調整し効率運行 / 軽自動車、積載制限の緩和を
経営者インタビュー ~物流最前線をみる(20)~
ILRS-NEWS Vol.481
東京ユニオン物流(株) 川﨑取締役社長
― 御社にとっていま経営の最重要課題とは。
(川﨑取締役社長)当社はコンビニ、ドラッグストア、スーパーマーケット、住宅設備などの顧客が主で、8営業所でドライバーが約200人いる。自社車両170台のほか協力会社を毎日約170台使っているが、現状では目先の仕事をこなすのが精いっぱいで、いかに効率よく運営するかが最大の課題だ。人数的に足りないわけではないのだが、営業所ごとに顧客の業種形態が異なるので、どうしても営業所単位での対応となる。ただ、多忙な営業所はドライバーが休まず働き、協力会社を追加しても追い付かない時もある。この一方、余力が出る営業所もあるので、仕事を整理し優秀なドライバーを振り向けて100%フル稼働できないものかと考えていて、大枠で回せるシステムを検討している。
―それは働き方改革の取り組みにも関連してくるが、現状ではどのように取り組んでいるのか。
(川﨑取締役社長)住宅設備で照明器具の荷揃え、仕分け、ピッキングを以前は真夜中にやっていたが、人手不足もあり仕分けを3時間早めてもらうことで深夜労働をやめた。対象の営業所では出発を早めることで残業時間をコントロールし、休暇もとることができている。しかし、コンビニ、ドラッグストアは深夜にやらざるを得ず、ドライバーが不足するため人数が通常の1.3倍必要となる。そこでスーパーマーケット担当のドライバーに試験的に共配させている。スーパーが多忙になるとまた戻ってもらう。協力会社も使うが最近はドライバーが次々と入れ替わるので安心して任せられない。結局、働き方改革を推進するには、営業所間で人員をやりくりするしかなく、余力を適正に把握し、営業所長に理解してもらって共配の定期便を効率的に回すことだ。
― 安全対策にはどのように取り組まれているのか。
(川﨑取締役社長)事故がないのを当たりまえのように、徹底的に取り組んでいる。法的な点呼・点検からデジタコ、ドラレコの導入、ドライバーによる結果チェックはもちろん、ドライバーの安全担当リーダーが5~6人の班を束ね、事故を1件も起こさないためには何が必要で何をやらねばならないかを絶えず声掛けしている。また年1回の120人くらいが出席する安全大会では、前年を振り返って来年の自分の無事故目標を策定し、安全運転の指針にしている。
このほか社内的にさまざまなコンテストを催し、モチベーションの向上をはかっている。日常点検、フォークリフト、内輪差、バック、省エネなど直接・間接的に安全技術につながるものから大声コンテストなどストレス発散になるユニークなコンテストまでいろいろある。
― 行政や業界への要望があれば。
(川﨑取締役社長)一般的なことを言えばたくさんあるが、現実的な点を一ついうと、軽自動車の積載重量制限が現行の350㎏では低すぎて、もう少し上限を上げてもらいたいと思っている。我々はコンビニやドラッグストアのある商店街や住宅地に配送するケースが多く、狭い道でトラックが入りにくいため軽自動車を使っている。ただ、現状の350㎏上限では10㎏の箱を35しか積めずまったく赤字の状態だ。できれば600㎏くらいに緩和してほしいが、最低でも500㎏は積めないと採算がとれる状況にはならない。最近では宅配業者も細道対策でワゴン車を使い始めていて、同じような問題に直面している。通販の拡大でこれから軽自動車の需要がどんどん増えるため、重量規制の緩和は必要不可欠と考える。
(聞き手:葉山明彦)
東京ユニオン物流株式会社
東京都武蔵村山市伊奈平2-100-2
取締役社長 川﨑 和夫
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