経営者インタビュー「物流最前線をみる」

付帯業務を拡大し年商10億円を / 実運送は現状維持、協力会社と連携

経営者インタビュー ~物流最前線をみる(8)~
ILRS-NEWS Vol.457

 

有限会社大拓 指崎孝之 社長

御社にとって重要な経営課題は何か。

(指崎社長)実運送はドライバー不足による採用難のため、重点を顧客である大手きもの会社レンタル事業の付帯業務に移し、この拡大に力を入れている。従来は輸送しか行ってこなかったが、大学に卒業式・成人式用のブースを出して、一次保管、什器のレンタルなど行っており、この利益をドライバーに還元している。

ドライバー採用は新卒にこだわらず転職で対応しているが、3年前は一度の募集で採用できたものの、それ以降は採用難が顕著でよい人材を採用できず、最近は募集もしていない。このため実運送の売上は伸びないが、正社員がやめると協力会社、派遣社員で仕事を補うようにし、人数減で正社員の還元が増えるため、社員にとってはプラスだ。

今後は袴のクリーニングにも進出していく。その次は倉庫内の仕事をすべて請け負いたいと思っており、実現すると収益が大きく増える。

― 安全対策はどのように行っているか。

(指崎社長)安全教育や管理者教育には力を入れ、底上げをはかっている。安全会議を開き、トラック協会から紹介されたコンサルタントの指導を受けている。ドラレコ、タコメーターの装備はもちろん、半年間無事故だと表彰している。外部コンサルタントを入れると、社員の安全に対する認識度が高まり、事故が確実に減っている。国際物流総研もフルに活用させてもらっている。

― 働き方改革で労働時間の短縮が至上命題となっているが。

(指崎社長)休みをとるのはよいことだが、体を使って稼ぎたいという人もいるので、疑問を感じる面があるのも事実だ。当社にも監査が入り、月100時間の時間外を80時間以内にせよと言われた。ただ、一生懸命やってはいるが、大企業と同じレベルでは対応できないので、なかなか難しい。経営者としてはやらざるを得ないので、社会保険労務士と相談して就業規則を変え、時間をかけて円滑に作業を進めていくしかない。

― 今後の目標は。

(指崎社長)現在年商が3.6億円だが、東京五輪後となる3年くらい後を見据えて10億円を達成したい。運送業については大手の下請けが多いが、人手不足の時代に自ら拡大する気はなく、実運送はこの程度にとどめ、協力会社との連携を強めていきたいと思っている。伸ばすのは倉庫および倉庫内物流<きもの関連の付帯業務>で、いずれはきものの仕入れまで手を延ばし、システム化してやっていきたい。同業顧客へも拡大して他運送会社と共同配送もやっていきたいと思っている。
(聞き手:葉山明彦)


有限会社大拓
東京都江東区牡丹3丁目9番5号

代表取締役  指崎 孝之
ホームページ http://daitaku.co.jp/

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