当社の場合、売上構成はセンター運営が5割、輸配送が2割で物流(3PL)が7割、このほか物流不動産の提供が3割となっている。倉庫内の作業で顧客が喜ぶサービス、対価をもらえるサービスを提供するには顧客の持つ数値を分析し対応できる人材育成が必要だ。この目標を立てて社内的に試行錯誤している。
4年前から社内勉強会を定期的に開催し、KPIを用いた現場管理や安全管理を推進してきたが、体系的になっていないので昨年から階層別教育制度を導入した。社内研修はもちろんJILSや3PL協会の外部研修で必要なら資格も取得していく体制を整備した。
また、目の前の仕事をこなすのみならず、「凡事徹底プロジェクト」と題して当たり前のことを当たり前以上のレベルで実践できるよう取り組んできた。現場で守るべきルールを定めた凡事徹底ハンドブックを作成し、朝礼での読み合わせ、パートも含めた全社員にテストも行った。また、毎年10名程度をプロジェクトメンバーとして選出し、5Sなどを題材にした課題図書を読んで議論し、現場に戻って1か月で改善することを続けてきた。成果は劇的に出ている。
それ以前はセンター任せのためうまくいかないセンターもあったが、組織改正しセンター長を指導、サポートできる体制をとり、コミュニケーションを重視して数字管理を徹底した。また、センターのショールーム化を掲げ、みせる物流化を推進した。無駄を排除し、見に来てもらってきれいだ、感じがよいと思ってもらえる現場にすることを心がけ、各現場のイメージは向上している。残業削減への取り組みもプロジェクト化し、毎月パートも含めて36協定違反にならないようコントロールしている。
これらと並行して3年前からサンインテルネット・アワード(賞)を作り、パートや協力会社の人も対象で相互投票し、しっかり仕事をした人、改善をたくさん進めた人を選んで表彰している。一生懸命働く人を評価して感謝する制度で毎年30人くらいに感謝状と商品券贈呈など行っている。現場のモチベーションは向上していると感じる。
売上増と生産性向上でここまではいいのだが、求めるレベルはまだ高いのでさらに強化が必要だ。次のステップは顧客に改善の提案をごく普通にできるようなレベルにしていきたいと思っている。
― 安全対策ではどのような対応をされているのか。
(三田社長)倉庫内の安全対策に関しては、先の凡事徹底に含まれるが、アワードの安全に関する評価に当たって年2回監査を行っている。フォクーリフトの操縦、ヘルメット着用、消防設備の安全性など巡回してチェックしている。昨年、法令も含め安全管理規定をセンターで定めて整備した。
運送に関しては関連会社のサネットが担当するが、①四半期に1度の全体会議、②5~6人のチームにリーダーをたてて月1回行うリーダーミーティング、③法令安全委員会を月1回実施-などで対応する。全体会議では全ドライバーを対象に外部講師を招いた研修を行っている。NEXCOの方には高速道路上の運転、ディーラーにはトラック整備関係、トラック協会にはDVD視聴を通じて指導を受ける。リーダーミーティングでは事故事例で危険個所の共有やヒヤリハットなどを議論する。サネットでは入社2週間は横乗り指導で新人教育し、4点確認や安全意識、危険運転や急ブレーキなど個別面談するなどでチェックリストに合格しないと1人乗務はさせない。こうした作業を通じて時間外労働の管理も向上している。
― 3PL主体に取り組まれてきたが、営業面の現状と今後についてお聞きしたい。
(三田社長)神奈川県央エリアでドミナント戦略により大小を含め倉庫をかなり備えて、このエリアでは多くの大手顧客を扱わせてもらっている。地域集中しているため繁忙期などでも人的な面でサポートし易く、また自前で管理しているため、顧客の要望で流通加工やシステム対応、工事関連など周辺業務を幅広くやっているのが強みだ。顧客の成長局面では倉庫拡張など波動にもしっかりと対応していく。ただ、他地域に展開するのが次の課題だ。最近は人材の採用難が顕著で、新しい場所で展開するとなるといままでのようなレベルではまず人を採用できない。このため顧客の要望に沿って少しずつ対応している。昨年10月には立川にセンターをオープンし、新たなドミナント作りを模索している。来年1月には新座に1万1000坪のセンターを開設する。まずは関東一円を着実にカバーしていきたい。
(聞き手:葉山明彦)
サン インテルネット株式会社
神奈川県横浜市西区みなとみらい二丁目3番5号 クイーンズタワーC 10階
代表取締役社長 社長執行役員 三田 竜平
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