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東海運 危険物強化で北九州に新施設 多様な機能を一括提供

日刊CARGO 2019年2月13日掲載

 

東海運は今年4月、北九州地区における需要拡大に対応するため、福岡県新門司地区に危険物マルチワークステーションを開業する。もともと太刀浦地区で30年以上前から危険品倉庫を運営してきたが、現在は旺盛な需要を背景にフル稼働状態が続く。危険物の常温・定温保管に加え、積み替え・加温などを行う一般取扱所やタンクコンテナの屋外貯蔵などさまざまな機能を一括して提供できるマルチワークステーションを建設することで、さらなる需要の取り込みを図る。フェリーや内航船、鉄道など多様な輸送モードへの接続性にも優れ、モーダルシフトにも対応。将来的にはタンクコンテナの洗浄サービスの提供も視野に入れている。

東海運は1987年に北九州太刀浦地区で危険品倉庫を開業。徐々に取り扱いを増やし、現在は7123平方㍍の敷地内に計9棟を運営しており、1類から5類までの危険品を取り扱っている。また2015年には、倉庫から約1㌔離れた港湾地区にタンクコンテナの屋外貯蔵所と危険物一般取扱所を開設。屋外貯蔵所ではタンクコンテナ40本を貯蔵可能で、一般取扱所では加温やコンテナ・ローリー間の積み替え業務などを提供している。

東海運によると、もともと北九州地区では危険品倉庫が不足がちなことに加え、自動車関連の需要拡大や荷主のコンプライアンス意識の高まりを受け、危険品倉庫の需給は逼迫した状況が続いている。このため、新たに新門司地区に危険物マルチワークステーションを建設することで、新たな需要の受け皿としたい考えだ。マルチワークステーションの敷地面積は1万8641平方㍍。昨年10月に着工し、今年4月にまず屋外貯蔵所と危険物常温倉庫、コンテナデポが、次いで9月に一般取扱所と定温倉庫、高圧ガス貯蔵所がそれぞれ稼働予定だ。

マルチワークステーションは、1カ所で保管や積み替え、加温、計量など多岐にわたるサービスを提供できる点が特徴だ。既存の倉庫は各棟の規模が小さいため大ロット貨物への対応が難しく、また一般取扱所とも距離が離れているため利便性などで課題があった。これに対し、マルチワークステーションでは商品の一括管理と高付加価値サービスの提供が可能。常温・定温の貯蔵所とも軒先を5m確保しており、雨濡れなどを防ぎ屋外での作業品質も向上が見込める。積み替え作業でも、タンクコンテナとローリー間だけでなく、ドラム缶やIBC(液体・粉体輸送容器)などさまざまな荷姿の変更に対応。定温倉庫は480平方㍍の床面積を2分割し、0~25度までの2温度帯に対応する。主に4類のファインケミカルの取り扱いが主力となる見通しだ。

高圧ガスについては、既存倉庫では不燃性ガスのみを取り扱っていたが、マルチワークステーションではLNGなどを含む可燃性ガスでも貯蔵が可能。このほかタンクコンテナの洗浄についても、サービスの提供を見据え、パートナー企業と交渉を進めている。

危険品倉庫の需要が旺盛なことを受け、東海運は既存の危険品倉庫をマルチワークステーションに集約化することはせず 、両者を使い分けて新たな需要を開拓していく考えだ。太刀浦地区の既存倉庫は、コンテナターミナルにも近いことから輸出貨物の取り扱いで利便性が高い。一方、新門司地区のマルチワークステーションでは、九州の自動車工場向けで潤滑油や塗料など多様な需要が見込めることに加え、内航コンテナ船やJR貨物、内航フェリーなど各輸送モードとの接続性にも優れる。従来はローリーを使って陸送していた貨物をタンクコンテナに転換し、フェリーや内航船などで輸送すればドライバー不足問題への対応にも繋がる。東海運は「開業から短期間でフル稼働状態になると期待しており、さらなる拡大も視野に入れている」としており、マルチワークステーション稼働を機に 九州全域での危険品倉庫需要を取り込んでいく考えだ。


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