インタビューリレー「物流企業はいま!」

多角化10年、ワンストップで展開 / 新事業の人材確保と深化が次の課題

 

物流企業トップに聞く ~物流企業はいま!(13)~
ILRS-NEWS Vol.418

 

(株)カーレントサービス 保坂高広 代表

― 御社にとっていま最も重要な経営課題は何か。

(保坂代表) 当社は10年前に運送業から重量物や精密機械、医療機器の組み立てや産廃、倉庫などに多角化してワンストップでやる体制をとってきた。業種を横に広げる展開をしてこれまでほぼ順調に推移してきたが、最近は重量物、精密機械、医療機器の施工などの分野で人を集めにくくなっている。参入時に少人数は入るのだが、特殊な部分だけにその後がつながらない。ドライバーも不足はするが、なんとか来てもらっている。こうした特殊分野でも何とか人が来るようにするには、広告の出し方か、給料なのか、何が必要なのか見直している。

また、横に広げた事業領域を縦に深めていくことも重要だ。専門性を有力企業に比べても遜色ないように深めて、その分野の専門業者として地位を確立し、事業利益を上げていかねばならない。もう一つ、EC(電子商取引)への対応をどのように進めていくかも課題だ。ECは一般的に年7%の伸びがあるといわれ、当社も大手のいくつかの分野を取り扱っているが、規模の経済を効かせるまでの時間をカバーする体力面が問題だ。コスト面で優位に立つための戦略的なロケーションを探している。

― 昨年の運送約款の改定に対して御社はどのように対応したか。

(保坂代表) ある部分は対応したが、実効性の点では約款改定をしたからという面は量的に多くない。待機が長くて残業になっている部分や労働が長くなり2~3シフト組んだコストアップは請求させてもらっている。当社は10年前まで少数荷主の運送料の依存度が高かったがこれでは食べていけないため、業種を多角化してワンストップの体制をとっており、この結果運送料の売上シェアは80%から今では15%まで減った。日本の物流企業は数が多すぎるため、自然と荷主のSCMを長くしてしまっている。1社で一気通貫の取り扱いを目指すことが荷主にメリットを出せるし、自社の事業領域の拡大にも繋がることができる。

― 行政や業界に要望や訴えたいことがあれば。

(保坂代表) 基本的には行政や業界に頼らず、自社で付加価値を磨けば顧客にそれなりの請求はできると思っているが、荷主に長距離運転規制によってコストがかかる分の理解を得られないケースもある。物流会社が過重労働や危険物の説明をしてもダメなのなら、行政はユーザー側の規制もすべきで、例えば一度の発注は××時間分以内にするとか規制があればよいのではないかと思う。物流会社だけにしわ寄せがくる規制は理解ができない。
(聞き手:葉山明彦)


株式会社カーレントサービス
東京都大田区上池台3-16-19

代表取締役 保坂 高広
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