インタビューリレー「物流企業はいま!」

倉庫も事務も人手不足、新展開できず / 外国人研修を物流にも、荷主の協力必要

物流企業トップに聞く ~物流企業はいま!(14)~
ILRS-NEWS Vol.420

 

福岡運輸株式会社 富永泰輔 社長

― 御社にとっていま最も重要な経営課題は何か。

(富永社長) 運送業界はどの社も同じだと思うが、人手不足が深刻な問題で、当社の場合もこれにつきる。乗務員はもちろん、作業員や事務職すべて不足している。マクロ的に景気がよいのもあるが、働き方改革が影響している面も大きい。特にドライバーは恒常的に不足している。作業員の不足は原因不明だが、他産業か、業界内で取り負けているのかもしれない。新卒も大学、高校ともに採用難だ。金利が低く資金調達の環境はよいのだが、とにかく人が足りない。この結果、①在籍する人に負担がかかる、②新規営業に取り組めない、③新たな拠点を出せない――という状況に陥っている。


― 昨年の運送約款の改定に対して御社はどのように対応したか。

(富永社長) 約款は新たなものを使っている。付帯作業や待機料は、新規ではもらっているが、従来から続く仕事にはなかなかすぐにもらえない。しかし、変更したのは非常によいことで、ソフトランディングすべくこれからは根強く交渉していく。人手不足や過重労働が社会的に注目されており、環境的にはよくなっている。

われわれは低温物流が主だが、国土交通省のこの分野のデータは甘く、待機時間などはもっと長い。小口が主なので定量化するのは難しい面もあるが、顧客には約款変更をしっかりと説明していくつもりだ。

― 行政や業界に要望や訴えたいことがあれば。

(富永社長) 今日の人手不足の中で、建設や介護サービス、飲食店など外国人研修制度が進展しているが、なぜか物流業界は入っておらず、これに入れてほしい。外国人が物流業に従事する場合、ドライバーは難しいかもしれないが、運転補助や倉庫荷役などやれる仕事はたくさんある。ドライバー以外でも物流現場は超人手不足に陥っており、外国人研修制度の対象業種に入れるよう行政に切にお願いしたい。

また、働き方改革では残業時間規制が導入されるが、運送業界には働いて稼ぎたい人はたくさんいる。もちろんサービス残業はよくないが、稼ぎたい人まで制限するのはいかがなものか。規制を会社単位でなく、個人の選択制にすればよいのではないか。

もうひとつ、運送業者の改善告示違反はどんどん厳しくなって営業停止になる会社も出てきているが、この問題は荷主の協力なしでは解決することができない部分も多くある。一方的に運送事業者だけに厳しい罰則を科すことには疑問を感じている。
(聞き手:葉山明彦)


福岡運輸株式会社
福岡県福岡市博多区空港前2丁目2番26号

代表取締役社長 富永 泰輔
ホームページ  http://www.fukuokaunyu.co.jp/

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