労務管理ヴィッセンシャフト

ゲームを通じて啓蒙される?物流の重要性

2024年12月11日

労務管理ヴィッセンシャフト vol.29
野崎 律博


◆命を懸けて荷物を運べ!ゲームを通じた物流の再認識

早くも12月で年末が近づいてきました。いやはや一年もあっという間です。

今年は2024年問題から始まり、衆議院総選挙などいろいろな事があった一年でしたね。物流に関しては2024年問題として世間に知れ渡るようになり、重要な問題でありかつ早期解決が求められる事案であるという認識も広まったように感じます。

さて、今年最後のメルマガ記事なので、若干エンタメ関係の話をしたいと思います。

私はコンピューターゲームを趣味としてやっております。世間で名高い任〇堂やらS〇NYなどのハードウェアはもちろんのこと、自作ゲーミングPCで最高なゲーム環境を構築しております。

少々古い作品ではありますが、物流をテーマとしたゲームがあることはご存じでしょうか?(タイトルは伏せさせていただきます)近未来の北アメリカを舞台としたゲームです。その世界では、死者から生まれる怪異が猛威を振るい、物流やら人とのつながりが分断化された社会です。そのような中、依頼人からの荷物を運び、報酬を得るというミッションをしつつ、怪異と戦い、アメリカ再建のために通信インフラを拡大しつつ、物流拠点の再建やバイパスの整備、貨物運搬用車両の開発などを行ってゆくことがゲームの目的となっております。

このゲームの何が面白いかというと、序盤は通信もインフラも分断化されて何もないため、依頼人からの荷物をザックに入れて運び、山や川を超えて荷物を届けてゆくところからスタートします。最初は物流の基本たる幹線道路やトラックなどの貨物運搬用自動車が無いので、人間が荷物を直接運ぶ以外ありません。まさに江戸時代の飛脚のようです。

主人公たるプレイヤーは、序盤は飛脚のように重い荷物を自ら担いで運ぶなど、チマチマ運送をするところからスタートします。荷物を背負い、山々を登り、崖があればロッククライミングギアのようなピトンを打ちザイルで確保をしつつ、崖を降りるときは懸垂下降という原始的な有様です。ゲームを進めることで、大きな谷を超えるためのジップラインの設置や、川を渡るための橋など、プレイヤーが任意の場所に建設することができるようになります。

またインターネットのような光通信インフラを整備するために住民の集落を一つ一つ訪問することも行います。徐々につながるインフラと人々とのコミュニティの復活、運搬用の幹線道路の整備をしつつ、最終的には貨物運搬用車両で荷物を運ぶことができるようになります。

◆ゲームを通じて感じたこと
このゲームをプレイする中で感じたことは、近代社会の文化的生活において、物流がいかに重要であるか、ということです。今のわれわれの社会は、運びたい荷物があれば、ダンボール等に梱包して、送り状を貼り、コンビニや運送業営業所、郵便局などに荷物を預け、お金を払うだけで荷物を運んでくれるという、ありがたい物流が存在します。これらは物流を担う事業者やドライバー、人材スタッフの皆様がいらっしゃるからこそ可能であるということです。ゲームはそのような当たり前に存在する物流がいかに貴重であるか、そのありがたみと重要性を啓蒙させられます。

話に戻りますが、このゲームの面白いところは、プレイヤーが設置した橋やジップライン、懸垂下降用のザイル設置などは、オンラインを通じて他のプレイヤーの環境でも共有化されるところです。つまり自分が設置しなくとも、オンラインを通じて他のプレイヤーが設置した環境を活用しつつ、荷物運搬に利用することができます。

また自分や他人の設置したインフラは、SNSのように「いいね」を送ることもできます。もともとは自分がゲームプレイを進めるために設置した様々な施設が、オンラインを通じて他のプレイヤーにも活用され、「いいね」をもらうことで承認欲求も満たされるという、SNSのような機能も有したゲームです。

最終的にはアメリカ全土に幹線道路を整備し、貨物自動車も開発し走らせることができるようになります(しかもEV車です。ワイアレスEV充電道路なので、道路を走るだけで自動的に充電されます。)ここまで進めればしめたものです。

◆今年もあとわずか。2024年問題は全国民にとっての課題!
サブタイトルの通りですが、今の我々の社会にとって物流とは身体を流れる血液のようなものであり、無くては生きてゆくことができません。また分業化された近代社会においては、物流従事者じゃない人々にとっては空気のような存在でもあるといえます。当たり前に存在するインフラですが、無くなるととっても困る仕事です。政治家みたいなことをいうようで恐縮ですが、物流の問題は国民全員にとって重要な問題であり、一人一人がその課題と取組に関心をもつことが求められていると思います。「送料無料は当たり前」のことではありません!年末ですが、そんなことをうったえたい今日このころです。

2024年もあとわずか!2024年問題は抜本的解決ができないまま、来年に持ち越すことになりそうですが、来年こそは物流業界の飛躍する年にしたいものです。皆様、良い年をお迎えください。

著者プロフィール

野崎律博

主任研究員

公的資格など
特定社会保険労務士
運行管理者試験(貨物)


物流事業に強い社会保険労務士です。労務管理、就業規則、賃金規定等各種規定の制定、助成金活用、職場のハラスメント対策、その他労務コンサルタントが専門です。労務のお悩み相談窓口としてご活用下さい。健保組合20年経験を生かした社会保険の活用アドバイスや健保組合加入手続きも行っております。社会保険料等にお悩みの場合もご相談下さい。

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