「ワークエンゲージメント」の取組み(その②)
2024年12月4日
『物流なんでも相談所』
岩﨑仁志
◆ その① 前号はこちら
前号において物流業界においても人手不足解消と人材育成に大きな効果があると言われるワークエンゲージメントについて説明させていただきました。企業の付加価値最大化には、ワークエンゲージメントだけではなく社員エンゲージメノトも重要です。ワークエンゲージメントは働き手にとって組織目標の達成と自らの成長の方向性が一致し、働きがい、働きやすい食簿環境の中で組織や仕事に主体的に貢献する意欲を示す概念でありこのエンゲージメントを保ちながら仕事に取り組み、組織として生産性を高めることが重要です。
エンゲージメント向上によって、3つの効果があると考えられます。①組織に対する社員からの信頼が高まる、②社員の能力が最大限に発揮される、③社員が健康に活き活きと働き続けられる、というものです。エンゲージメント向上により社員の定着、定着によって技術やレベルが上がり、生産性も向上できます。このエンゲージメントは企業の規模を問いませんので、中小企業が多い物流業ではとても役立つ方法です。
トラック事業者に広まっている働き易い職場認定制度にもこの考え方が入っていると思われます。働きやすい職場認証制度とは、トラック、バス、タクシーといった自動車運送事業の労働環境改善への取り組みの「見える化」を目的とした制度で、 働きやすい職場認証制度の正式名称は「運転者職場環境良好認証制度」と言い、ホワイト経営認証制度とも呼ばれます。労働者不足が顕著化する物流業において働き易い職場を提供することは、必然とも考えられます。令和2年8月、国土交通省において、自動車運送事業(トラック・バス・タクシー事業)の運転者不足に対応するための総合的取組みの一環として「働きやすい職場認証制度」を創設されました。同制度は、職場環境改善に向けた各事業者の取組みを「見える化」 することで、求職者のイメージ刷新を図り、国土交通省、厚生労働省が連携して、求職者の運転者への就職を促進することを目的としたものです。一般財団法人日本海事協会は、国土交通省の指定を受けた認証実施機関として、申請受付、審査、認証等の手続きが実施されています。自動車運送事業者(バス事業者(乗合、貸切)、トラック事業者、タクシー事業者)の方々の幅広い申請されている<働きやすい職場認証制度の認証マーク>です。自動車運送事業(トラック・バス・タクシー)において、運転者の労働条件や労働環境について一定の基準を満たしている「働きやすい職場」として認証された優良な事業者のマーク、笑顔で働くドライバーをイメージしたもので、ドライバーの皆さんが安心して働ける職場環境を提供している事業者が一目でわかることを意図して作成されました。 各認証項目の達成状況に応じて、「一つ星」・「二つ星」・「三つ星」の3つの認証段階が設けられており、「一つ星」から順を追って上位の認証段階に進むことができます。星の数は職場環境の良好度を表しており、令和5年6月1日より「働きやすい職場認証制度」の認証マークが新しくなりました。
話をワークエンゲージメントに戻します。ワークエンゲージメントに取組むためには、①働きがいの現状を確認してみましょう、②日々の仕事について柔軟かつ多様、快適な労働環境の整備、③仕事の意味や面白さを見出せるような働きかけによって社員の能力を発揮させる、④社員と組織が同じ方向を向いて努力する、⑤社員の頑張りに納得感ある形で報いることで社員のやる気と信頼を高める、⑥社員の能力、キャリアを開発し充実させることで社員のやりたいことを増やしていく、これを繰り返し取組みながら、面談やフォローを定期的に行なうことで取組みの課題や進捗状況を把握していくことです。社内で取り組むべきことは多きですが、限られた人数で成果を出し続けるためにはワークエンゲージメントが有効なのです。