政府改革の波に乗る
2024年8月7日
物流よろず相談所
これまで人手不足が深刻化していた物流業界においては、ドライバーの長時間労働により、輸送力を維持していく傾向にありましたが、2019年に施行された働き方改革関連法案によって2024年4月以降ドライバーの時間外労働への大幅な規制がなされ、労働時間の減少によって輸送力低下や収入減少によるドライバーの離職も懸念されています。これから荷主の協力や社会の理解を求め、物流を絶やさないための取組みを強化していかねばなりません。物流業界はまだ効率化が進んでいないのが現状です。効率化推進にはDX化が不可欠となります。物流を絶やさぬための取組みとして、IT導入や、ある一定のDX化は避けては通れない道です。自社の物流業務におけるIT化今一度見直してみましょう。改善に向けて一刻も早い取組みを行なうことをおすすめいたします。
2024年問題を契機として行政による物流関連業務監視の目は大幅に強化されています。働き方改革関連法は基本的には厚労省主幹ですが、そこに国交省、公正取引委員会が加わり、これらがかつてなかったほどに連携、さらにトラックGメンという実行部隊が監視の強化を担うという、国としては最高水準の厳しさで「適正な物流」を実現しようとしているようです。例えば漢詩最大の標的とも言える「荷待ち」については最悪の場合これまで以上に容赦なく社名公表が行なわれることになります。また6月1日から施行されている標準的運賃ですが、その中には荷役作業の割増料金についても明記されており、最低でも30分2,000円、最高水準で換算すると5,500円/時間にもなってしまうことにー。これはつまり、荷役は基本的にはドライバーにやらせるものではない!という国から示唆、と考えるのが妥当でしょう。さらに2024年6月独禁法につながる恐れありとして、公取委は573の荷主に対し具体的な懸念事項を明示した注意喚起を行なっています。その他にも国は今後トラックGメンの機能強化(下請けGメンも)などにより、処遇改善や取引適正化のさらなる取組みを進める、ともしています。サプライチェーン全体で適切な価格転嫁を定着さえる「構造的な価格転嫁」の仕組みを実現するためにもこの先独禁法の執行強化を行なっていくようです。
人手不足の中、残業代が減る見込みへの不安もあり、モチベーションが下がり続けるドライバーの定着率を上げていくためにも、賃金や保障の充実はどうしても必要なことを考えましょう。そのためにも適正な運賃やコストの価格転嫁には真剣に取り組んでいくべきです。業界の構造改革が進まない例の筆頭にあると言っても過言でないものが物流コストの適正な価格転嫁ができないこと。労働環境の改善を妨げており、ドライバー不足という悪循環を生んできました。しかし今後は荷主に向ってしっかりとした資料を用意しつつ、お互いが2030年に向って失敗しない、取り残されないパフォーマンスを続けていくため同じ立場で交渉のテーブルに着くべきなのです。
吹き始めた風に乗らない手はありません。あらゆる改革を前向きな材料として自社の取組み強化に使い、物流改革期の先頭ランナーを目指しましょう。