物流よろず相談所

2024年問題を乗り切る力は安全から

2024年6月26日

物流よろず相談所 

 

2024年問題の幕開けとなる新年度の始まりから3ヶ月が経過していますが、物流現場においては大きな変化もないように思われます。これは総労働時間規制が現場に影響を及ぼすのは早くて今年年末、それでも多くの現場では改正改善基準告示を守るには年度末には調整を行なう必要が出てくる可能性も高く、来年3月の年度末にはトラックドライバーの労働時間規制で運べなくなる可能性も出てくるでしょう。2024年ドライバー不足に陥った物流企業の多くの経営者は危機感を募らせています。

これまで苦しい経営環境の中で疲弊し、この経営危機の波を乗り切る力はもう残されてない、と考える経営者も少なくはないかもしれません。度重なる経費高騰、人員不足、価格競争などこれまで乗り切って今日に到っておられる経営者の方々。生活と産業を支える物流業として大いなる貢献をされてきたことは事実です。苦しい経営環境、よく言われるしことですが、ピンチはチャンスにつながると。厳しい問題に直面すると、乗り切るための改善を図ろうとするもの。物流現場をよく知るトラック事業者にとってはチャンスがやってきていると考えましょう。ここでもう一度乗り切る力もみなぎらせねば、この苦しい経営状況を打破し、未来への飛躍を見いだすことができるはずです。

それではどこから問題解決を図っていけば良いのでしょうか?まず事故が経営に大きな影響を及ぼすことは周知の事実です。事故はコストのみならず、荷主の信頼を失墜し、仕事をなくすことにもなりかねません。安全を第一とする経営をもう一度確立することが必要です。トラック事業者は運輸安全マネジメントの義務化、安全性優良事業所認定制度(Gマーク)の普及など国の施策はある程度の効果をあげているものの、トラック事業者による事故撲滅は難しい状況にあると数値的には言えるでしょう。しかし経営強化には、何よりも事故防止が優先されなくてはなりません。しかし、いくら事故を起こすな、と運転者に指導しても事故はなくなるはずもありません。事故を起こさない、遭わない、努力が重要であり、運転者自身が主役は自分である自覚も持ち、「いかなる危険をも予知し避ける」ことを心掛けておかねばならないからです。

事故を起こそうとして運転するドライバーは一人もいません。しかしながら、交通事故の95%は人間のミスによるものです。なぜ事故が起こるのでしょうか、それは人間が機械ではないから、ミスを犯してしまうということに着目しなくてはいけません。事故は突発的に起こらない、必ず原因・要因があります。まず人も車も限界があることを知ることも大事です。人間は疲労によって判断能力は低下します、また車もブレーキを踏んですぐには止まるものではありません。安全には安全に絶対はありません、それを支えるのは、ドライバー自分の努力のみとも言えるでしょう。その安全教育を怠ることで、事故を発生させていることも考えられます。再度自社の安全経営を見直していただきたいと思います。

次に社員の定着を図ること。そのためにはこれまで上から下への命令形式で仕事を進めてはいけません。やはり、社員が楽しいと思える職場作りが大事です。働きがいがあり、コミュニケーションが活発で、お客様から信頼される会社となることが大事です。顧客満足(CS)をかなえるには、従業員満足(ES)がなければなりません。従業員定着と顧客満足の関係は次回で説明させていただきたいと思います。

著者プロフィール

岩﨑 仁志

代表主席研究員

職歴
 外資系マーケティング企画・コンサルティングセールス


物流・運輸業界に留まらず、製造業や流通業物流部門などを対象にコンサルティングを行ってきました。国内外の物流改善や次世代経営者を育成する一方で、現場教育にも力を発揮し、マーケティング、3PL分野での教育では第一人者とのお声をいただいています。ドライバー教育、幹部育成の他、物流企業経営強化支援として、人事・労務制度改定に携わった経験から、物流経営全般についてのご相談が可能です。

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