物流業の勝ち残りは人材育成次第
2024年4月24日
物流よろず相談所
物流業も事業である以上は、同じ投資で、よそよりも利益を上げることが必要なことは誰でも理解していることでしょう。利益を上げるための絶対条件は、“事故がないこと”です。事実多くの事業者が事故によって損害を被っています。この無駄をなくすことが絶対必要です。十分な安全が確保できたら、他社に勝る競争材料を見つけることが必要です。同じことをしてもトラック事業が成り立ったのは遠い昔、他社との差別化をすることが必要不可欠です。顧客の立場に立った時に、この会社を使ってよかったと思われる会社になっているかどうか、そこがポイントです。
実際に現場での評判が良い地場の中小物流事業者が大手のアンダーから直接契約に代わったり、競争入札で大手事業者に競り勝ち、一括物流を受託できているケースも存在するのです。そのK社では、毎月社員が自分の勤務内容を自己評価した上で、班長、課長が評価し、統括する部長が最後の評点を下した上で、給与に反映する制度を導入しています。評価されるポイントが明確であるだけでなく、評価基準が公表されることにより、社内での競争意識が生まれています。社内での評価に加え荷主からの評価を貢献ポイントとして加算し、昇給や賞与支給の基準額としています。自己の評価を高めるために、現場での作業時の言葉遣いや挨拶、服総更には車両洗車を行うなど徹底した顧客本位のサービスができる社員が育成できています。自分の会社では、評価基準やなすべきことが明確になっているかどうかをもう一度確かめてみたいものです。そうすると案外あいまいな部分がはっきりしてきます。ビジネスの基本ができているか、検証してみましょう。5Sと言われる(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)ができているか、確かめてみることが必要です。その代表とされるのがあいさつです。そのあいさつがきちんとできている事業者が案外少ないのです。当たり前のことができないと競争以前のレベルとなってしまいます。次に、報告・連絡・相談がきちんとされているか、指示されたことが実行され、報告されているかがとても大事です。指示内容があいまいで、そのために成果が出ないことも少なくありません。報連相に加えて、指示内容や情報が確実に伝達されているかどうかを確認することも大事です。そのような指示や伝達など社内コミュニケーションが上手く回ることが教育を始める前提となります。
そこから実務に基づいた内容をOJT(オンザジョブトレーニング)などの教育を始めましょう。現場においてはまずは安全に関する教育を徹底することが大事です。次に自分の役割と立場を理解し、その役割分担を果たしていくように指導しましょう。実務面の教育と精神面の教育を両面から行なうことが必要です。
物流行はサービス業として言われてやるだけでなく、新たな役割が期待される社会に欠かすことのできないエッセンシャルビジネスでもあります。社員ひとりひとりが自ら顧客と会社に貢献できる成果を出すように取り組む社員が多くなれば、当然受託できる仕事が増えるだけでなく、荷主にとって大事な顧客からの評判が高い物流サービスを荷主の営業戦略として重視することは間違いないでしょう。荷主とその顧客に満足されるサービスとは何か、その現場に戻って検証してみると、まだできることがたくさんあるはずです。現場と管理者が一体となって取り組むことができれば、そのサービス内容も品質も自ずと違ってくるはずです。ドライバーや現場はやらされている意識から、自分の役割を果たす意識へと変化し、生まれ変わったサービスを行なってくれるでしょう。