物流よろず相談所

新しい年を始める

2024年1月10日

物流よろず相談所 

 

新年を迎えました。穏やかであれ、と願った2023年ではありましたが、年末は政治の問題で明け暮れ重要法案などは年明けに持ち越すことになりました。物流政策パッケージのフォロー案や法制化もできないままとなってしまいました。そのような中で物流事業者にとって繁忙期と言われる年末を迎えたのです。平和を願う世界中の人々との願いとは裏腹に2年以上に及ぶウクライナ紛争に加え、イスラエルによるパレスチナのガザ地区での紛争がはじまり、そのため多くの命が失われるばかりか、その影響で国際的な食糧や燃料の高騰が続いています。

ようやく治まりを見せつつあるコロナ禍、しかし一方ではマスクなし生活の拡大によってインフルエンザが猛威を振るい、学級閉鎖が相次ぐなど影響が出始めています。物流現場においてもドライバーや現場作業員への拡大も始まりつつあり、今のうちから防止策を講じておき必要がありそうです。

あと3か月弱で2024年問題と言われるドライバーの残業規制が始まります。物流業における2024年問題がTVや新聞など各種メディアで注目を集めています。2024年4月から中小物流企業においてドライバーの残業時間規制を始めとして、その他拘束時間が最大15時間に制限され、月間拘束時間が284時間に制限ほか、インターバル時間が9時間に拡大されるという改正改善基準告示が始まります。物流業だけではなく、物流クライシスが叫ばれる昨今、物流企業の多くがまだ2024年問題対応が進んでいないことが明らかになっています。この改正改善基準告示はドライバーの待遇を改善しようとする政府の試みなのでしょうが、働く時間が減ることで収入減少を憂うドライバーも多くおり、運賃改定が進まぬ中で、法律が独り歩きしているような感じがします。

物流企業における対策が荷主の協力をえることがなかなかできず、対策も進まない中で、今後政府関係者はどのような動きを見せることになるのでしょうか?荷主の理解や運賃値上げへの対応が遅れていることが対策が進まない要因とされていますが、まず現場でも無駄なコスト削減や効率化を今一度見直す必要がありそうです。まずは事故をなくすこと、次に働きやすい職場とコミュニケーションが活発な現場を作ることで、社員の定着を高めることが重要です。社員募集、教育に関わるコストを削減できるだけでなく、仕事において熟練度が高く、品質も向上するだけでなく、結果的には生産性も高まることで優れた企業へと成長することができます。

今一度2024年問題に触れておくならば、荷主への罰則が進まぬ中で、いまだに供給過剰と言われるトラック事業者の運賃改定が進むとは思えません。物流企業の実態に合った改革を行なうには、政府が荷主に罰則を伴う指導を働かせない限り、大手流通業では運賃改定に応じることはないでしょう。事実弊社の顧問先でも、流通業を荷主とする物流業もかなりいますが、罰則なしでは運賃改定に応じる気配すらないからです。新たな法的措置も辞さずとする政府の動きが注目されるとことです。新年のスタートに当たって、今一度大事なことは、品質とコストであることを、社員に徹底させて無駄なコスト、特に事故やミスによる費用負担がないように指導していくことが大事です。現場を大事にする経営者・幹部の方々、社員との個別個人ミーティングを実践していただき、自社の目指す方向を示し、そのために社員が何をするべきかを確認してください。新年を成長のきっかけにしていただきたいですね。

著者プロフィール

岩﨑 仁志

代表主席研究員

職歴
 外資系マーケティング企画・コンサルティングセールス


物流・運輸業界に留まらず、製造業や流通業物流部門などを対象にコンサルティングを行ってきました。国内外の物流改善や次世代経営者を育成する一方で、現場教育にも力を発揮し、マーケティング、3PL分野での教育では第一人者とのお声をいただいています。ドライバー教育、幹部育成の他、物流企業経営強化支援として、人事・労務制度改定に携わった経験から、物流経営全般についてのご相談が可能です。

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