2024年荒海にこぎ出すには、厳しい経営が必要
2023年12月27日
物流よろず相談所
物流業における2024年問題が注目を集めています。2024年4月から中小物流企業においてドライバーの残業時間規制を始めとして、その他拘束時間が最大15時間に制限され、月間拘束時間が284時間に制限ほか、インターバル時間が9時間に拡大されるという改正改善基準告示が始まります。物流業だけではなく、物流クライシスが叫ばれる昨今、物流企業の多くがまだ2024年問題対応が進んでいないことが明らかになっています。この改正改善基準告示はドライバーの待遇を改善しようとする政府の試みなのでしょうが、働く時間が減ることで収入減少を憂うドライバーも多くおり、運賃改定が進まぬ中で、法律が独り歩きしているような感じがします。物流企業の実態に合った改革を行なうには、政府が荷主に罰則を伴う指導を働かせない限り、大手流通業では運賃改定に応じる気配がないからです。新たな法的措置も辞さずとする政府の動きが注目されるとことです。
さて、物流業に経営は車両購入費用、燃料など経費高騰が続き、少子高齢化による労働力不足など容易な状況ではありません。経営において成功した経営者の書いた本はあふれているのに、成功する経営者は少ないのは、なぜでしょうか?成功した経営者の方法を真似ても、どうして思うように結果が出ないのでしょうか?実は、成功している経営者が本やインタビューや講演などであまり口にしたがらない真実が隠されているからだと思います。これまで成功されてきた経営者の方々にお会いしてきましたが、その成功された経営者は厳しい経営をされています。その隠された真実を知らずに会社を経営することはできないのですが、彼らはそれを表立って話すことはありません。なぜかと言えば、彼らにとって都合が悪いからではないでしょうか。これを口にしたり本に出してしまうと、従業員や世間に非難される恐れがあるからか、もしくは嫌われるからです。社員の協力なしでは会社経営ができないからです。経営の最も大事な部分は、彼らにとって不都合な真実とも言えるでしょう。なので成功した経営者らの話のほとんどは、オブラートでくるんだような口当たりの良い常識的な言葉と、耳障りの良いエピソードで埋め尽くされています。多くの経営者は、“社員がいたからここまでこれた”とか“最も大事な経営資源は人である“とか“できるだけ 多くの社員を雇うことが社会貢献だ”、“従業員を育てるのが経営者の仕事だ”等々本の中で書かれていることが多いのです。それらが間違っているというわけではありません、特に成長した大企業であればそれなりに当てはまることも多いでしょう。
しかしトラック事業のような中小企業が真っ先に考えなければならないのは「従業員」ではなく「利益確保」であると言えるでしょう。物流業は経済活動であり、社員を雇うのは「利益」を上げるためにほかならないのです。利益確保が企業にとって最も重要であり、経済活動の目的はそれ以外ありません。利益の出ない企業に投資する株主も貸してくれる銀行もありません。ですから、経営者まずしなければならないことは、経営者の知らないところで従業員らが会社のもの(時間を含む)を盗むのを防ぎ、経営者の方針に沿って彼らに仕事をしてもらえるような一本化した企業を構築することです。成果を出す(利益貢献)仕事をしている従業員に報い、そうでない従業員をカットすることです。経営者が今必要としているのは、この目を伏せ たくなるような、耳を塞ぎたくなるような真実の部分なのです。
厳しい経営こそが2024年の荒海にこぎ出す力になると思います。ビジネスの目的は利益を上げることです。もし自分にとって最良の師は誰だったかと問われたら、「一番厳しかった人」の名を挙げるのではないでしょうか?一番きつい要求をし、絶えず向上していくことを求めた人 、怠けさせてくれなかった人の名を挙げるのではないでしょうか?「情け容赦ない」とは、残酷だったり意地悪だったりすることとは違います。経営者は自分の下にいる人間とビジネスをどこへ連れて行くのか、 利益を最大化することがいかに大切かを、しっかり分かっているということなのではないでしょうか。厳しい経営こそが必要となると思います。その厳しい経営を支えてくれる粘り強く部下指導と育成をしてくれる幹部社員を育成することが物流企業にとって最も大切なことだと言えるでしょう。