物流よろず相談所

対外折衝能力を引き上げる①

2023年10月25日

物流よろず相談所 

 

物流業の現状を考えるならば、国内全体における労働力不足から大きな岐路にたっています。日本の人口は47都道府県全てで減少、生産、年齢人口も60%を切っています。慢性的な人材不足に苦しむ物流業においては長距離輸送をはじめとするトラックドライバー不足がこの先さらに深刻になっていくことが考えられます。2022年に改正された改善基準告示(自動車運転者の労働時間改善のための基準)が物流業でも2024年4月以降施行されることから、労働時間が制限され、ドライバーの拘束時間が減ることによるリスクをまだ認識できていない荷主も多いとされています。2024年問題を踏まえ荷主との交渉も必要となってくることから今日はコミュニケーション能力、特に対外折衝能力を引き上げるための方法を考えてみたいと思います。

まずは社会の課題を理解することから始めてみたいと思います。“持続可能”をキーワードに全産業の課題に向けた取組みは今後も続く(SDGs)にも物流業者として社会に貢献しながらも自社収益に結び付く工夫をしなければなりません。そのための解決策を考えていかねばならないのです。自然災害・パンデミックに関しての使えるBCPを整理しておくことは顧客へのアピールという点も含め絶対必要です。情報のデジタル化が加速する現在、物流にもデジタル化(DX)の波が押し寄せており、もはやIT活用は当たり前、顧客との対応を進めるためにも社内のITを顧客や社会とのより良いつながりに生かす工夫が重要です。ただでさえ人材不足ですから、機械化できるところと人手によるところを区分して少人数(省人数)での対応はあらゆる意味で取り組んでいくべき課題、より優秀な人材の確保と教育が必要となってくるでしょう。物流業には以前はPCなどのスキルを必要としませんでしたが、管理者ともなると必須のアイテムとなっています。

荷主である顧客のニーズは大きく変化してきています。安全確実な輸送に加え、高度化する物流のオペレーションを取り入れたいものです。省コスト+省人材で確実な収益確保を狙うことが必要です。着荷主への対応も含め、物流を全般的に見直すことで、自社事業を発展させたいとの荷主ニーズを叶えることはできるだろうか今一度、3PLを正しく知り、そのニーズに応えられるようにするべきです。荷主とのコミュニケーションは何よりも大事です。そのため幹部のコミュニケーション能力を引き上げておく必要があるのです。論理的思考が会話力を上げることがその為には必要です。ポイントは①思考はシンプルに!疑り過ぎない、② 根拠(裏付け)を持つ、③何故?(問題点)をはっきりさせる、④ ~だから(根拠)を示す、ことです。仕事は人を説得することの連続ですから、why→because、を心掛けて話すと理解力を高めることができると同時に主張と根拠もつながります。

それでは論理的でない話し方とはどのようなことでしょうか?我々は普段の業務で感覚的なことば遣いがちです。

非論理語(イマイチ、微妙等)を多用しているのです。これだと相手の理解も得られず、モチベーションも下がってしまいます。根拠が示されず、言葉も不明確だからです。理にかなった判断に基づいていなければ、問題発見も根拠を示すこともできません。根拠を言葉にする習慣ができていないと、相手を納得させることは難しいのです。そのためには、事実と自分の意見を区分しておくことが必要です。事実は、動かしようのない現実です。例として現在トラック運送会社の数は6万社余り(国交省、全ト協、各研究機関等のデータ活用を活用)、これに意見として想像も含む未確定情報で、2030年運送会社数は5万5千社の見込という具合です。説得力のある会話にするには、事実と意見を組み合わせることが必要です。説得力を高めるには情報収集のスキルが必要なのです。

著者プロフィール

岩﨑 仁志

代表主席研究員

職歴
 外資系マーケティング企画・コンサルティングセールス


物流・運輸業界に留まらず、製造業や流通業物流部門などを対象にコンサルティングを行ってきました。国内外の物流改善や次世代経営者を育成する一方で、現場教育にも力を発揮し、マーケティング、3PL分野での教育では第一人者とのお声をいただいています。ドライバー教育、幹部育成の他、物流企業経営強化支援として、人事・労務制度改定に携わった経験から、物流経営全般についてのご相談が可能です。

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