アフターコロナの物流企業
2023年10月4日
物流よろず相談所
3年以上に及ぶコロナ禍の中、物流を止めず国民の生活と産業を守り続けた物流業。それでもアフターコロナと呼ばれるようになった今日、経済活動の正常化が進み、企業投資も活発になってきています。上半期では日経平均株価もバブル崩壊後の最高値を更新、上昇を続け国内企業の躍進も評価されてきました。一方で物価高や再び進んできた円安が国内中小企業に与える打撃も非常に深刻です。コロナ過を経験してきた企業では、求める人材や取引先に対するニーズにも当然変化が起きています。専門性が必要な業務では外部委託し、自社社員には社内における企画や業務改善、緊急対応などの幅広い業務を任せたいとしています。アフターコロナの波に乗り、自社のコア事業を見直してみようというメーカ側のうごきもまた少なくありません。このような状況においては輸送に関わる周辺業務を安心して任せられる物流事業者の存在はまさに望まれるところでしょう。ただ、その前に荷主共々乗り越えなければならない問題があることも、忘れてはなりません。トラックドライバーの不足に加え、彼らの働ける時間にも厳しい規制が加わろうとする中で、これらの問題解決には荷主もしっかり向き合わなければ、物が運べなくなる位では済まなくなってしまうからです。
このような環境の中であっても物流業も経営としてなすべきことは市場の変化に敏感で、顧客ニーズに応え続けるということではないでしょうか。市場である顧客が望んでいる商品(サービス)を提供して評価を得ると言うことがとても大事なことなのです。そのために、まず経営者の方にやっていただきたいことは、自分の経営方針を自社のSWOT(強み、弱点、拡大機会、脅威)分析を行った上で、今後どのように進めるか、経営方針(ビジョン)を示していただきたいのです。この経営方針に基づき、幹部会ではこれを現場に落とし込み、アクションプランを定め、これを実行していただくことが大事です。この時に、現場における課題点が明確となっていることがとても大事です。このアクションプランが確実に実行されているかどうかを日々確認する現場の長とともに、その成果を確認していくことが物流業経営における基礎と考えて間違いないでしょう。この場合、まず利益がでるビジネスであるかどうかも極めて重要なことです。現場では、仕事をすることで役割を果てしていると考える現場スタッフ・ドライバーが多いのが事実です。実際経営としては、利益の出ないビジネスは会社には何の貢献もしていないのです。しかし、働いた現場のスタッフは、自分の貢献と権利を主張することになるでしょう。ここで必要となってくることは、経営状況の「見える化」です。経営をオープンにすることで、どうしたら利益が出るのか、改善を現場で常に実行する体制を構築して欲しいのです。現場の改善が経営に取り入れられることで、社員の前向きな姿勢も、経営への関心も生まれてくるでしょう。こうして現場を巻き込んだ、全社一丸となる経営が行えるかどうかが、この厳しい経営環境を乗り切る力となることは間違いありません。
経営者・幹部・現場と一体となっている会社には、業種は違っていても共通点を発見することができます。会社が明るく、元気がいいのです。5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ=作法)の徹底がなされており、会社も車もきれいであることはもちろん、無駄・無理・むらと言われる3Sの排除がなされています。では、どこからはじまることが望ましいのでしょうか?私は“あいさつの徹底”であると思います。あいさつは、すべの始まりです。この挨拶をきちんとすることから始めていただき、経営者の方針を実行できる会社へと改善していただきたいと思います。