アフターコロナとの向き合い方
2023年9月27日
物流よろず相談所
「アフターコロナ」とは、新型コロナウイルス感染症流行し終息した後の時代であり、同じ意味で使われる言葉に「ポストコロナ」もあります。新規感染者数が落ち着き、インフルエンザと同じ5類感染症へと移行されたことや行動制限などがなくなったことが、アフターコロナと呼ばれるきっかけになったと考えられています。コロナ前のような環境へとだんだん戻りつつあり、すでにマスクをしている人の数も減少しているといえますが、消費に対する価値観や傾向は新型コロナウイルス感染症流行で大きく変化したのは事実です。コロナ感染者が減少したのがきっかけとなっていますが、コロナ感染者は依然として多く、以前であれば各種の行動規制が行われる数に上っています。コロナに対する医療対策が整ったこともあり、行動制限よりも経済政策を政府が重視していることが現行の5類への移行と行動制限の緩和につながっています。
アフターコロナとコロナ前は同じ状況ではないといえ、今後の消費者の生活スタイルや消費傾向に合う経営戦略が重要になると考えられます。新型コロナウイルス感染症流行により、運送業の経営環境は以下の変化により変わりました。1つ目には、供給量・調達コストによる変化です。2つ目には、消費者の購買行動・ニーズによる変化と言えるでしょう。
まず供給量・調達コストによる変化について考察します。新型コロナウイルス感染症流行により、消費者の購買行動が変わったことや、原材料や資材不足で供給できず、モノが売れなくなった業種もあります。商品や製品を消費者の手元に届けるサプライチェーンにおいて、様々な業種が関係することになりますが、生産や調達が停止したことで他方に影響が連鎖的に起きたものも少なくありません。ECなど通販市場が伸びた一方で量販店では売り上げが大きく減少しました。それぞれの物流を担っていた物流業者にも大きな影響がありました。またメール分野でも部品供給や資材不足で、生産や工場稼働に支障が起き生産量も激減、その結果運ぶ物がなくなり、運送業界は再び値下げ競争も起きました。コロナ前にヤマトショックと言われた宅配便を基調とした値上げの波は収まり、値下げの嵐が訪れました。運ぶものが減少した事業者がこれまでとは違った分野に進出するなど競争激化を招きました。
次に消費者の購買行動・ニーズによる変化について考えてみます。新型コロナウイルス感染症流行により、販売先の発注量、ニーズの変化がありました。例えば、製造業の場合、製品・商品マーケットの状況やサプライチェー ン上流・下流の材料供給、そして部品調 達などが影響し販売先の発注量へ大きな影響を与えました。卸売・小売業・サービス業は、消費者の購買行動やニーズが変わったことで、店頭による販売が困難にもなり、飲食チェーン店では、宅配機能を強化、デリバリーサービスや個人宅配会社との提携などでこの危機を乗り切ったところもありました。運送業に関しては、人との接触を避ける傾向や、巣ごもり需要などの影響によるECサイト利用者増加で、個人配達などが増えました。
この様な中で物流企業に求められる機能とサービス内容は大きく変化しましたが、パンデミック時にBCPをどのように構築しているかが問われた結果、対応できた事業者に成長が、対応が遅れた事業者には減収となって結果があらわれてきました。これからはWITHコロナの対応で、ドライバーや庫内作業者に感染が蔓延した時の対応、そのための要望の徹底などなすべきことは多く残されています。ラストマイルに起きる変化を注視しながら、顧客企業に特化した物流から多様性のある物流業務へと柔軟な転換を図るときだと言えるでしょう。