物流なんでも相談所

エコドライブによる経営戦略を考える

2021年11月3日

物流なんでも相談所 Vol.37

 

物流業にとって人材問題も大きな問題ですが、ここにきての燃料費の高騰は死活問題にまでなっています。昨年収益を確保できていた企業が燃料費高騰ゆえに適切な利益が確保できていないという状況も多いようです。

昨年から今年にかけ、1ℓ当たり40円近く高騰しているからです。例をあげてみます。1日100km走行している4t車両が平均4.5km/ℓで走行しているとすると、1日役22ℓの燃料を使用することになります。25日稼働だと月間で550ℓとなります。値上げ分だけ考えても月間22.000円の負担増、年間だと264,000円増となります。車両を50台保有しているとすると、1千320万円の負担増となり、収益がなくなってしまうことになります。そこで、今日SDGsやESGの重要性が認識されつつある中、今一度御社におけるエコドライブ戦略を見直してみてはいかがでしょうか?エコドライブとは省エネ運転のことですが、今一度ポイントをおさらいしておきましょう。

エコドライブの10ポイントは以下の通りです。

ふんわりアクセル「eスタート」=「やさしい発進を心がけましょう。」普通の発進より少し緩やかに発進する(最初の5秒で時速20キロが目安です)だけで11%程度燃費が改善します。やさしいアクセル操作は安全運転にもつながります。時間に余裕を持って、ゆったりした気分で運転しましょう。

加減速の少ない運転=「車間距離は余裕をもって、交通状況に応じた安全な低速走行に努めましょう。」車間距離に余裕をもつことが大切です。車間距離を詰めたり、速度にムラのある走り方をすると、加減速の機会も多くなり、その分市街地で2%程度、郊外で6%程度燃費が悪化します。また、同じ速度であれば、高めのギアで走行する方が燃費がよくなります。交通の状況に応じ、できるだけ速度変化の少ない安全な運転をしましょう。

早めのアクセルオフ=「エンジンブレーキを積極的に使いましょう。」エンジンブレーキを使うと、燃料の供給が停止される(燃料カット)ので、2%程度燃費が改善されます。停止位置が分かったら、早めにアクセルから足を離して、エンジンブレーキで減速しましょう。また減速したり、坂道を下る時にはエンジンブレーキを活用しましょう。

エアコンの使用を控えめに=「車内を冷やしすぎないようにしましょう。」気象条件に応じて、こまめに温度・風量の調整を行いましょう。特に夏場に設定温度を下げすぎないことがポイントです。外気温25℃の時に、エアコンを使用すると、12%程度燃費が悪化します。

アイドリングストップ=「無用なアイドリングをやめましょう。」10分間のアイドリング(ニュートラルレンジ、エアコンOFFの場合)で、130cc程度の燃料を浪費します。待ち合わせや荷物の積み下ろしのための駐停車の際にはアイドリングを止めましょう。

暖機運転は適切に=「エンジンをかけたらすぐに出発しましょう。」現在販売されているガソリン乗用車においては暖機不要です。寒冷地など特別な状況を除き、走りながら暖めるウォームアップ走行で充分です。暖機することにより走行時の燃費は改善しますが、5分間暖機すると160cc程度の燃料を浪費しますので、全体の燃料消費量は増加します。

道路交通情報の活用=「出かける前に計画・準備をして、渋滞や道路障害等の情報をチェックしましょう。」1時間のドライブで、道に迷って10分余計に走行すると14%程度の燃費悪化に相当します。地図やカーナビ等を利用して、行き先及び走行ルートをあらかじめ計画・準備をしましょう。また道路交通情報をチェックして渋滞を避ければ燃料と時間の節約になります。カーナビやカーラジオ等で道路交通情報をチェックして活用しましょう。

タイヤの空気圧をこまめにチェック=「タイヤの空気圧を適正に保つなど、確実は点検・整備を実施しましょう。」タイヤの空気圧が適正値より50kPa(0.5kg/c㎡)不足した場合、市街地で2%程度、郊外で4%程度、それぞれ燃費が悪化します。また、安全運転のためにも定期的な点検は必要です。

不要な荷物は積まずに走行=「不要な荷物を積まないようにしましょう。」100kgの不要な荷物を載せて走ると、3%程度燃費が悪化します。車の燃費は荷物の重さに敏感です。運ぶ必要のない荷物は、車から下ろしましょう。⑩駐車場所に注意=「渋滞などをまねくことから、違法な駐車はやめましょう。」交通の妨げになる場所での駐車は交通渋滞をもたらし余分な排出ガスを出させる原因となります。平均車速が時速40kmから時速20kmに落ちると、31%程度の燃費悪化に相当すると言われています。

これらのポイントがきちんと実施することが大事です。社内におけるエコドライブ運動の進め方は、①経営トップによる方針決定、②社内体制作り、③具体的な推進目標の設定、④エコドライブの推進実施、⑤燃料実績の把握と分析、⑥評価・表彰制度の確立、とう手順で進めて参りましょう。全体での取組みが必須であることは間違いありません。エコドライブを徹底させることは、燃費が向上し環境にやさしく、安全運転につながります。当然荷主の安全・安心という信頼も勝ち得ることが可能となり、仕事も増え収益も向上するでしょう。一石三鳥のエコドライ推進、会社全体で今一度取り組んでいただきたいとおもいます。

著者プロフィール

岩﨑 仁志

代表主席研究員

職歴
 外資系マーケティング企画・コンサルティングセールス


物流・運輸業界に留まらず、製造業や流通業物流部門などを対象にコンサルティングを行ってきました。国内外の物流改善や次世代経営者を育成する一方で、現場教育にも力を発揮し、マーケティング、3PL分野での教育では第一人者とのお声をいただいています。ドライバー教育、幹部育成の他、物流企業経営強化支援として、人事・労務制度改定に携わった経験から、物流経営全般についてのご相談が可能です。

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