問題意識を育てるには
2021年2月10日
物流なんでも相談所 Vol.22
これまで勝ち残る企業にあるものは、優秀な人材であると何度も述べてきました。しかし、野放しで優秀な人材を育成することはできません。人材育成は物流企業にとって最も重要な戦略であるとも言えるでしょう。
では実際、物流現場において優秀な人材、物流マン、プロドライバーとはどの様な人のことを指すのでしょうか?もちろん物流現場の最先端であるドライバーが優秀であることはもちろんです。優秀なドライバーとは、まず第1に事故のない人、安全を守りぬく人、第2に多様な仕事をこなすことができる技術やノウハウを持っている人、第3に顧客への対応がよく、顧客の信頼が厚く指名をもらえる人、そして第4に人間関係に優れ、リーダーとして現場向上に貢献できる人と言うことができるでしょう。しかしながら、プロのドライバー・物流マン育成が年々困難になってきていることは物流現場の管理者がよく御存知のことではないかと思われます。
かつて、物流業が運送業と呼ばれ、収益が確保できていた時代は、同年代の人より収入が多くもらえるということもあり、物流業に就職する若者には不足しませんでした。今日若年労働者の不足は運輸業に限ったことではありませんが、物流業においては著しく顕著です。運輸業に従事する人、特にドライバーの年収は業務時間や難しさに比べて好待遇が保証されているとは言えないのが現実です。いつの間にか、若年層の雇用ができず、平均年齢が中年の域を超え、未来に希望も持てない人ばかりとなっているのが現実の物流業界かもしれません。私が長年役員としてかかわってきた創業80年を越える物流業では平均年齢も50歳を超えてしまっております。物流業は社会インフラとして欠くことのできない重要な役割を担っています。しかし長年物流業に従事してきた人たちは、毎日を無事に、言われた仕事をこなせば良いと考える人が多くなっているのかもしれません。新たな仕事よりも、今までのやり方でこなす仕事を選んだり、時代や顧客ニーズに対応できないドライバーが増えているのも現実です。この様な人にいくら問題意識を持って、前向き考えて業務をこなすように指導しても、行動や言動が変わってくれることは難しいのも事実です。
そこで、会社の力を上げるに人員育成の在り方を検証してみることも必要です。実践の中から、学び自ら変革してもらうことが必要となってきます。その有効な方法が小集団活動です。ドライバーをいくつかの班やグループに編成し、その中で一人ではなく仲間と話し合い考えあってもらうのです。これまでの事故やトラブルをどうすればなくせるか、ヒヤリハットの場面はどうすべきだったかなど討議してもらうのです。極端な場合は現在の仕事のやり方を改め簡単に、楽にやれるかを話あってもらうのです。自分に利益をもたらす話し合いであれば積極的に参加し、発言する様になるはずです。意見の多い人、すなわちいつも文句を言っている人には、そのグループのリーダーになってもらい積極的に発言してもらっても良いのです。その発言が自分勝手なものだと誰も賛同しません。そこで、グループをまとめるためメンバーの意見に耳を傾けることを覚えることでしょう。発言もその立場で考える訓練もできる様になってくるでしょう。そのグループ活動の内容や成果を年間2回くらいの安全大会などで発表してもらえばその成果も年々よくなってくることはこれまでの実例で多く証明されています。品質と生産性の向上に役立つ小集団活動に取り組んでみてください、より良い企業に変わることができるようになるはずです。