年末を乗り切る
2020年12月9日
物流なんでも相談所 Vol.18
朝晩がめっきり冷たくなり、コロナで明け暮れた2020年もまもなく年末を迎えようとしています。良くも悪くも慌ただしさがピークとなりはじめるこの時期。通常業務の処理にも更なるスピードが求められて参ります。上から下へ、下から上へと飛び交う仕事情報に中間幹部やリーダーの方々も対応で精一杯といったところでしょう。ただ、少し手を止めて思い出していただきたいのが、こんな時こそ“部下の観察を決して忘れないで下さい”ということなのです。
年末でなくとも人の悩みはつきないものです。体調悪化もしかり。スタッフの様子がいつもと少し違う、と感じるゆとりは忘れないでいただきたいと思います。私が日頃から推奨させていただいている“現場の観察記録”も忙しい時こそ役立つものです。少し気弱な社員と逆に物おじしない社員、彼らに対し仕事の種類や指示の仕方を変えてあげると、効率は上がりそうな気がしませんか?ここに興味深いデータがあります。同じ仕事をするにあたり、“人がやる気を持って臨む場合は生産性が3割上がるが、やる気が失せている場合はその生産性は3割下がる―、というのです。これは無視できませんね。ここは一つ急がば回れでいきましょう。もし“観察記録”が滞るほどお忙しければ、“観察”のみでも構いません。調子の悪そうなスタッフには、休憩を!大事故につながっては年末どころではありませんから。
最近新年度の物流業の歩むべき道はどんなものかをお話する機会がありました。その中で、まず物流業の現状をより正しく理解することから始めるべきだろと申し上げました。物流業を取り巻く経営環境は、事業数増加、貨物量減少、運賃下落、軽油価格など経費の上昇、人材不足、罰則強化などマイナス面ばかりが強調されてしまいがちです。そのようなマイナス思考からは何も生まれるはずはありません。確かに競争激化ではありますが、確実な需要があり、産業形成や人の歩みには欠かすことのできない重要な産業であるとの誇りを持ち望みたいものです。どうすれば、この厳しい競争の中で勝ち残ることができるか、そのカギはこれまで何度も申し上げてきましたが、人材育成にあると言えるでしょう。
菅新政権の誕生で、国内景気回復が期待されていいます。少しずつではありますが、復興需要に合わせて、産業も動き出し始めています。その産業を支える“物流業”ですが、それぞれの経営課題も様々で、必要な対策もそれに合わせて違っています。ただ、多くの物流企業が抱える共通の課題があるとすれば、それは“人材育成”と“経営問題”です。その中でも、会社を構成する上で、なくてはならない“人材”、この“人”集め育てることが企業作りの基本ではないでしょうか。そのためにはまず、経営者の皆様がお持ちであるはずのビジョンを具体的に示し、内外に広めて行くことが第一歩と考えます。それと同時に、社訓や社是なども見直していただき会社全体でひとつの方向を向く姿勢を整えることが重要です。社訓や社是を踏まえた年度目標や事業計画を経営者が示し、幹部社員がその事業計画と方向性に基づき、各部署で具体的な計画を定め、幹部をリーダーとするアクションプランを実行していくことにより、会社全体目標に向かって事業展開を図ることで、年度売上や行動目標が達成できるようになるでしょう。
ここまでは“理論編”、さらにこの理論を実践するために行うことは、皆で決めたことを「実行してくれたこと」に対する“勤怠評価”も必要です。誰だってほめられ、評価されるのは嬉しいもの。ますますやる気がでます。同時に、経営者御自身にも是非実行していただきたいのは、社員と接する時間をより多く設けるということです。経営者の考えを直接聞く機会が増えるほど、社員は会社の計画に賛同し、自ら進んで貢献できるように頑張るということです。特に新入社員とのミーティングの時間を入社一番で設けてもらうことは欠くことはできません。実は、これが大きな効果をもたらします。経営者が何を考え、どの様な目的で事業を推進しているのか、社員に何を望んでいるかを、直接話すことは、不思議と社員の労働意欲を沸かせるものです。従業員の定着にもこれがー役立っているとのことです。初期教育はとても大事なのです。そして、社員教育の上からも経営者とのミーティングが重要であると言えるでしょう。コミュニケーションを活性化させ、生産性の上がる職場形成を目指したいものですね。
とりも直さずまず経営者の皆様、幹部の皆様御自身も年末に向けて、御健康を維持していただきますよう。今年を振り返るのは、大みそかまでとっておきましょう。あとひと月と少し、まだまだ走り続けて参りたいものですね。