KYTで事故撲滅、ムダをなくそう
2020年11月25日
物流なんでも相談所 Vol.17
今年もいよいよ繁忙期となる年末を迎える時期となりました。勝ち残る物流業者となるには、まずローコストかつ高い物流品質を有していることが条件と考えられます。顧客満足度を高めるため、事故ゼロの追及することが必要なのです。
お客様の認識ではプロは事故(交通・商品・労災)を起こさないと考えられており、優れたドラバーを有する企業が勝ち残ることは間違いないのではないでしょうか。以前にもご説明させていただきましたが、事故を防止するために効果があるとされているのが危険予知訓練(KYT)です。KYT(危険予知訓練「危険(K)」「予知(Y)」「トレーニング(T))とは、物流業・建設業や製造業などに従事する作業者が、作業に潜んでいる危険を予測、指摘し合うという訓練であることはご存知だと思います。
無駄をなくさねば勝ち残れぬ厳しい現状の中で、どこからムダをなくせばいいのでしょうか。そのムダを省くことについて再度考えてみます。ムダと言えば事故による損失が一番でしょう。安全第一を掲げても実行できなければ意味がありません。多くの企業がこの事故対策費用を毎年数百万単位で使っていることは以前にお話させていただきました。“安全で事故のない企業”、経営者、幹部であればだれでも願うことでしょう。しかし“安全は偶然の産物”では決してあり得ません。ただ、会社と当事者である運転職の努力に委ねるのみ、これが現実でしょう。
事故を未然に防ぐことが肝心なのですが、日頃から防災組織と活動がきちんとできている事に加えて、ヒヤリハットマップの作成、小集団活動、その集大成としての安全大会など地道な活動が徹底されていることが重要だと考えます。その日頃から事故防止の努力を積み重ねることで、初めて強い組織もできあがると思います。事故を防ぎ、ムダをなくすために常にヒヤリハットの徹底、事故予防策としてKYT(危険予知活動)を行うなどして予防策が習慣化されているかどうかが極めて重要です。安全が大事であることは、物流業に携わるものであれば誰でも理解できているはずです。
しかし、その安全を生み出すために何をすることが必要なのか、具体的に理解できてはいないというこが盲点となるのです。これまで事故なくやれてきたから気を付けていれば事故など逢わないだろうと多くの運転社員が考えているようです。ですが、これはやはり偶然が生み出していることであり、事故を防ぐには、危険をさけることが大事なのです。安全5原則(安全な速度、安全な車間距離を保つ、カーブで減速、一時停止・徐行の履行、交差点注視)など徹底されているでしょうか?街を走るトラックの中には、その意識が欠如しているとしか思えないドライバーが多く存在していることも事実です。そのために安全5原則と基本の徹底が大事です。この基礎がしっかりしていないといくら営業してもムダです。安全という基盤強化から始めていただきたいと願います。
事故を起こさない安全な運行をするためには、交通場面に潜む危険を的確に予測して、それを回避する運転をする必要があります。交差点右折時の対向車や歩行者、単路での前車の急停止、住宅街などでの子供の飛び出しや高齢者の急な横断など、交通場面には様々な危険が潜んでいます。ヒヤリハットに基づくKYTや4ラウンド法などが導入されることが多いのですが、詳細を見てみましょう。まずヒヤリハットとは、重大な災害や事故には至る一歩手前のニアミスな出来事のことで、業務上発生するニアミスは「結果として事故に至らなかった事例」として、報告すらされず見過ごされてしまう事が多いとされています。
このヒヤリハットの撲滅で、重大事故の発生を防ぐことができます。近年は、ドライバーが起こした一度の事故で廃業にまで追い込まれるケースも少なくないだけに、重要視される傾向にあります。ヒヤリハット活動は、「1回の重大事故の背景には29回の軽度事故と、300回のニアミスが存在する」というハインリッヒの法則を元に行われているもので、実際の事例をレポートなどで情報共有することで重大な事故を未然に防ぐ目的があるとされています。KYTを活用して事故を未然に防ぎ、年末年始を乗り切っていただきたいと願います。