KYTの具体例
2020年10月14日
物流なんでも相談所 Vol.14
前号でKYTの効果と必要性を説明いたしました。
今号では具体的なKYTの進め方について説明いたします。
~具体的なKYT活動とは~
KYT活動の準備
KYTは、1枚のイラスト(写真)などを見せながら、そこに「どんな危険が潜んでいるか」を
参加者(運転者)に問いかけることから始める。
◆参加者は考えられる危険要因(事故の原因となりそうな状況や行為など)や現象を発表、書記係は
その内容をホワイトボードなどに記録していく
◆事前準備
1チーム5~6人程度、リーダー(進行係)、書記係、発表者等役割を決めて行う
⇒参加者の発想を記録するためのホワイトボードやメモ(レポート)用紙などを準備
◆テーマ設定
職場や作業現場など日常の風景を、イラスト(写真)にして作業チームの前に提示、トレーニングを開始する
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~KYT(基礎)4ラウンド~
- 第1ラウンド現状把握 どんな危険が潜んでいるか
- 第2ラウンド本質追求 危険のポイント
- 第3ラウンド対策樹立 あなたならどうする?
- 第4ラウンド目標設定 私たちはこうする
※現状を認識後、行動決定させる手法
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第1ラウンド:現状把握 どんな危険が潜んでいるか
- リーダーが、提示されたイラスト(もしくは写真)を見せながら、そこに「どんな危険が潜んでいるか」を、参加者に問いかける
- 参加者は、考えられる危険要因と現象を発表、書記係はその発表内容をホワイトボードなどに記録します(5~7項目)
- 問題点の指摘は自由に!
※他メンバーの指摘内容に対し批判は行わないようにする
第2ラウンド:本質把握 ここが危険のポイントだ
- 第1ラウンドで出された“危険要因”の中から危険ポイントの絞り込み
(5~7項目を3項目程度に絞り込みます)
- 危険ポイントをホワイトボードに記し、問題点を整理するためにメンバー間で検討していく
- 第1ラウンドで出された危険要因のうち、関心が高く、重大事故につながり緊急を要する2~3項目について◎(最重要)、〇(重要)印をつけると絞り込みやすくなる
第3ラウンド:対策樹立 あなたならどうする
- 第2ラウンドで絞り込んだ危険ポイントに対し、どのような 行動(改善策)がよいか考え、ホワイトボードに書き出させる
- 最終的には1~2項目に絞り込ませる
- 改善策は自分達が“実施可能な”もののみにさせる
第4ラウンド:目標設定 私達はこうする
- 第3ラウンドで出された対策のうち、すぐ実施する重点実施項目を全員の合意で1項目選ばせる
- 選んだ項目を行動目標に設定させる
※設定された行動目標を全員で指差唱和させる
≪事例での検証≫
~事例4ラウンド~
第1ラウンド :現状把握 どんな危険が潜んでいるか
○荷がテールゲートに乗った際にゲートの後ろ側が沈み、荷が落下する
◎車体が傾いてロールボックスが外側に動き出し、テールゲートから落ちる
○一人で支え切れないロールボックスを支えようとすると下敷きになる危険あり
○荷を地上に卸すまでは、危険な隙間に入らない!
リーダーは作業の状況を読み上げる→“危険要因”と引き起こされる“現象(事故の型)”を全員で出し合う「~なので~して~になる」など
第2ラウンド :本質追求 危険のポイント
◎車体が傾いて、ロールボックスが外側に動き出し、テールゲートから落ちる
第1ラウンドの項目を絞り込む
絞り込み項目を声に出して確認する
第3ラウンド :対策樹立 あなたならどうする?
○ロールボックスの車輪を固定させ動かないようにする
◎テールゲートで作業を行う場合は必ずキャスターストッパーが立っているかを確認
○やむを得ずキャスターストッパーが付いていない車両を使用する場合は、必ず輪止めなどの対策を講じる
○キャスター正面に立たない
第2ラウンドの危険ポイントに対し、具体的で実行可能な対策を検討する
第4ラウンド:目標設定 私たちはこうする
・テールゲートリフターを使ってロールボックスの積卸し作業を行うときは、キャスターストッパーを立ててから作業しよう
第3ラウンドの対策を絞り込む、チーム行動目標を決定し、全員で指差し唱和 (ヨシ!)
確認 認指差呼称 項目設定
・キャスターストッパー確認
全員で3回唱和し、実施事項を確認唱和(ヨシ!)
この事例の様に、自社におけるヒヤリハットをもとにKYT活動を展開するほか、ドライブレコーダーに記録されたヒヤリハットの映像などを活用することで、効果も大きくなります。