コロナと共に
2020年7月8日
物流なんでも相談所 Vol.7
本日も日本列島の上空には梅雨前線が停滞。重くまとわりつくような梅雨の季節もいよいよ本番を迎えました。昨日も、厚木は大雨で、道路の一部では潅水したところもあったようです。夏至が過ぎ、昼間の時間もまた少しずつ短くなっていくことを思う時、いいようのないあせりや空しさを、例年以上に覚えてしまいます。それでも、コロナのいる新しい生活が半年の後、どのように変わっているのか、現実から目をそむけず厳しい予測をたてておくことが、今は必要でしょう。企業戦略を練る上で、周辺状況の想定は常に“悪”としておくことが基本。人の心は放っておけば正常な方に向かって考え方を誘導しようとします。ご存知の方も多いと思いますが、これはいわゆる正常性バイアス、という人の認知機能です。この程度なら、もしくは自分だけは大丈夫、と都合の悪い状況を過小評価し、現実逃避しようとすることで対応が遅れ、事態の悪化を招くことも多いといわれています。日常が戻りつつあるように見える日本にいて、つい事態の収束を“終息”と思いたくなることもありがちですが、世界中ではいまだに感染拡大が続いている事を決して忘れてはなりません。
IMF予測による最新のGDP成長率は前年比4.9%(世界全体)減。ようやくプラス成長が見られる21年になっても、19年水準にまでは戻れないとしています。国内外の往来が制限なく行えるようになるまでは物流業界における“緊急事態”は継続しているということでありましょう。このパンデミックも含め、現経営者・幹部の方々は歴史に残る規模の大きな災害をいくつも経験してこられました。しかしここに至るまでに受けた被害やダメージをしっかり糧として、企業としての成長を遂げてこられたこともまぎれもない事実です。すぐそばからコロナが完全に消滅するその日まで“自分は大丈夫”はあり得ないことを、肝に命じておきたいものです。
この先何があっても物流機能が不要になることは決してありません。もし、欲しいものが欲しい時に買えなかったら? もし、あの時新型コロナウイルス感染拡大の影響により、食べ物や医療品などの供給が止まってしまっていたら? 人々はどれほどパニックに陥ったことでしょう。人々の生命と暮らしを守るために昼夜を問わず動き続けた物流の尊さは誇るにふさわしいものです。暑さ本番を迎える中で、物流を現場で支えておられる物流現場で奮闘されている方々には心から敬意を表します。
モノの流れ、サプライチェーンは需要が増えている商品を24時間体制で増産し、事業継続と製品供給を止めない体制づくりを構築してきました。また生産ラインの部品を切らせないように、国外のサプライヤーや物流会社などと日々連絡を取り合うなどして、サプライチェーンを維持しようと努めています。さらに、運送業や倉庫業は、他者や業者への情報確認をしながら遅延を確認、顧客に配送の多チャネルを提案する、製品出荷の準備を早急に進める、イレギュラーなオーダー、特例需要への積極的な対応を進めるなど、人々の生活を支えるため必死に、協力しあって供給が途絶えないようにしているのです。
改めて私も1人の消費者に戻り、この様な時でも欲しいものをいつでも手に入れられる、不自由ない生活を送ることができることのありがたみを、しみじみ思ったものでした。どうか、これから始まるであろう暑い夏の中で、マスク着用しながら物流現場を支える皆様には熱中症には十分留意していただきたいと願います。コロナの根本的な解決にはあと数年はかかるとする専門家も多く、コロナとともの生活を余儀なくされています。コロナとの生活を支える物流、ライフラインですね。どうか現場で働く人の御蔭で生活を営むことができるのを忘れずにいたいものですね。