「コロナに負けない物流業へ」
2020年6月17日
物流なんでも相談所 Vol.5
新型コロナウイルスによって世界中の経済は大きな打撃を受けていますが、物流業界も例外ではありません。生鮮食品や医療品等を運んでいる運送会社の一部が、長時間労働をかえりみずサプライチェーンを守り続けている一方、配送先の店舗や工場、工事現場などが休業し、荷物を運ぶ先がなくなってしまった運送会社も少なくありません。倉庫や物流センターの一部では輸入貨物の減少で倉庫から貨物が消えたり、もしくは東京オリンピックの延期により、出庫されるはずだった貨物がそのまま保管され混乱しています。この様な中でもコロナウィルス拡大の中で、業績を伸ばしている物流企業もあります。コロナウィルスは企業経営に大きな影響を与えています。これは、運送業界でも同様です。たとえば、ビルやマンション建築など、ゼネコンが手掛ける大規模工事現場への配送は激減したものの、一般住宅の新築やリフォームに用いられる住宅建材の配送は、増えているともいいます。
新型コロナウイルスの影響で仕事が減り、売上を落としている運送会社には、いくつかの共通点があります。低迷する物流企業の特徴は、①限られた少数の荷主としか取引をしていない、②特定の業界に特化している、③差別化できるような特徴がない、参入障壁の低い仕事をしている、④営業活動を軽視してきた、などが考えられます。このような物流企業では社員が新しい仕事を嫌がり、チャレンジ精神も消えてしまっているというケースも見られます。一方大きな影響を受けず、業績の良い企業に共通することは①ドライバー教育が徹底しており、顧客の評価が高い、②専用車両の購入など、初期投資が大きく、参入障壁が高い、③物流を一括して受託しており、顧客との関係が深い、④棚入れまで行うため、配送先、荷主とも、顧客満足度が極めて高い、⑤特定業種や荷主に限らず、業種や荷主を分散している。ある物流企業ではメーカ需要の落ち込みを、新たに手掛けた医薬品物流が補っているというケースもありました。勝ち組の共通点は現場力と差別化とも言えるでしょう。他社が容易に参入できないための仕組み作りが大事ですね。
物流機能がなくなることは決してありません。もしも、欲しいものが欲しい時に買えなかったら?必要なものが買えなかったら…?、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、買い物が制限され、必要なものを購入するのさえ大変な苦労を伴う地域もあります。それらを支えているには物流です。これから益々、生活を支える食品宅配など地域物流は重要視されることになるでしょう。
物流業界も今は非常に困難な時かもしれません。しかし、サプライチェーンは需要が増えている商品を24時間体制で増産し、事業継続と製品供給を止めない体制づくりの構築、生産ラインの部品を切らせないように、中国のサプライヤーや物流会社などと日々連絡を取り合いなどして、サプライチェーンを維持しようと努めています。また、運送業や倉庫業は、他者や業者への情報確認をしながら遅延を確認、顧客に配送の多チャネルを提案する、製品出荷の準備を早急に進める、イレギュラーなオーダー、特例需要への積極的な対応を進めるなど、人々の生活を支えるために必死に、協力しあって途絶えないようにしてくれているのです。欲しいものを確実に届けてもらえる、そして生活を支えているのは物流が円滑に動いているからということを、私たちも忘れないようにしたいものです。