ドライバー教育でムダをなくそう
2020年5月13日
物流なんでも相談所 Vol.2
コロナウィルス拡大が物流に大きな影響を与え、事業拡大が難しい今日の様な不景気時代には「出る、を抑える」ことが重要となります。その一番大きなムダは事故による損失に他なりません。新年度を開始したばかりのこの時期、もう一度社内管理体制の確認をしておきたいものです。
企業として成長するには、他社との差別化戦略がこの低成長期には必要不可欠となります。御存知のように新たな冒険や拡大より、社内整備に神経を注ぐ方が賢明だと考えられます。まず仕事量の多さを生かし、サービスの質を上げることは現場スタッフやドライバーの心がけひとつで、今日からでもできる効果的な宣伝活動となります。「ドライバーが会社のトップセールスマン」これまで何度も申し上げてきたことですが、これが徹底されるだけで会社が元気になり、社業は発展します。加えて必要なことは現場力を引き上げと商品力による他社との差別化を図ることがポイントとなるのではないでしょうか。物流業においては人材が最も重要であることは経営者であれば当然御理解されていること、その人材を生かすも殺すも経営者次第とは言い過ぎでしょうか?でも経営者の心がけひとつで、人材育成ができるかどうか分かれてきます。経営が苦しく、社員教育に充てる費用などないとよく言われます。しかし、事故防止は経営戦略そのものであり、事故で会社そのものが倒産に陥ることも考えられます。事故防止対策としての改善活動はその教育を通じて社員の育成を図ることもできるようになります。
具体的な進め方ですが、実際の事故事例をビデオで見たり、本で読んだりしてお互いの感想を述べる所からスタートします。これはできるだけ同じ運送会社からのものが好ましいですが、そう多く事故事例などはあるものではないので、テキストとして警察・安全協会や保険会社で用意されているものでもいいでしょう。管理者側としては、事故が起こった結果その事故当時者に起こった出来事を客観的に伝えることで、さらに効果は高まります。交通事故の被害者・家族がどのようになるかを学ぶことが次のステップです。トラック協会、事故対策センターや安全協会にはこの手のビデオや参考図書など用意されています。これらを活用することも可能でしょう。最後に事故を起こすとまずドライバーにどんなことが起こるか本人に考えてもらいます。仕事を失い、家族を支えることができなくなります。事故を起こしたドライバーを雇用する運輸会社などはあるはずもないでしょうし、あってもまともな会社とは思えません。事故を撲滅するには、ドライバーの自覚を促すための訓練を続けることが大事です。
不幸にも事故を起こした時にどのような対応をするかでその会社がわかるからです。事故が起こった時に会社側での対応によって大きく分かれます。軽微な事故でも報告するよう義務付けする会社が多い中で、事故を起こしたドライバーに弁済する仕組みを取り入れるだけで事故が削減できると考える会社も少なくありません。例え賞罰委員会を設け、その結果ドライバー責任が重く、一部を弁済させるとしてもそこに至るまで普段の業務の中で、ドライバーがどのような気持ちで仕事をしているか確認してみる必要があります。