営業のシナリオ
2019年12月18日
「愛と繁栄を実現する経営改革」
経営戦略の三要素”何を売るか、どこに売るか、どうやって売るか”の三番目”どうやって売るか”にとって、「営業のシナリオ」がとりわけ重要です。
「営業のシナリオ」とは、受注をゴールと捉え、遡って受注するにはどういうアクションが必要か、さらに遡ってそのためには何が必要か、という受注までの”筋書”です。
「営業のシナリオ」が重要な理由は、見込客をゴールにまで取りこぼしなくかつ余計な手間を掛けずに導くものだからです。この意味で「営業の導線」と呼ぶ専門家もおられます。シナリオがしっかりしていないと、顧客側をうまく受注まで誘導できず、せっかくのチャンスを途中で逃してしまいかねません。
先日AIの展示会を見に行きました。ほとんどの出展社は、一方的に自社の商品説明をしてきます。こちらの関心の有無もスキルレベルもお構いなしです。おそらく会社の上司が、「まずは来場者を当ブースに引き込め。次に商品説明をしろ。最後に名刺をもらえ」と指示を出しているのでしょう。
こうなると私もさっさとスキップしたくなり、分かってもいないのに「よく分かりました」などと言って名刺交換前に逃げ出します。他の来場客たちも同感ではないでしょうか。こういう営業では、受注はおろか次のステップに進むこともできないでしょう。
その中であのキーエンスは違いました。同社の”データ分析ツール”の説明用パネルを見ていた私に、まず職種を確認してきました。”経営コンサルタント”だと分かると、ひと言「コンサルティング活動のこういう場面でお役に立つと思いますよ」と勧めてきました。
そして、その場ではあえて詳しい商品説明はしないで、次のステップである”セミナー”に勧誘してきました。勧誘のトークも絶妙なもので、さらりとパンフレット裏面のセミナー開催欄を見せながら「商品説明はセミナーの場で詳しくいたしますので、ぜひお越しください」と。こう言われて私も俄然セミナーに関心が湧きました。おそらく多くの人がそうではないでしょうか。
セミナーの後は、見込客リストに載せ、個別商談、受注へと進めるのでしょう。同社は、”受注←個別商談←見込客リスト←セミナー←展示会”とゴールから遡って何を成すべきかの「営業シナリオ」をしっかり準備し、ていねいに実践しているのです。商品に関心がある人はセミナーに行きますし、ない人は行きません。
ですから「営業シナリオ」があれば、関心のある人を”取りこぼすことなく”次ステップに誘導できますし、逆に関心のない人には長時間かけて説明する”ムダ”がなくなります。すなわち”過不足なく”着実にゴールに向け営業できる強力なツールになるのです。
このように「営業のシナリオ」は、”どうやって売るか”にとってたいへん重要なツールです。