予算進捗会議のワナ
2019年11月20日
「愛と繁栄を実現する経営改革」
V社では「予算進捗会議」を毎月開催している。「品目別に」予算額と実績額を比較し、”売れ行きの悪い品目”については売上増大策を論じるものの、”売れ行きの良い品目”については「よしよし」と褒めるだけで何の対策も取らない。Z社では、それを「得意先別に」行っている。品目別と得意先別の違いはあるもののV社と同じことをやっている。
V社やZ社に限らずこうしたやり方はどこの会社にもみられる。しかしこうしたやり方は「誤り」だ。正しくは逆である。すなわち、売れ行きが良いものはもっと売り、逆に売れないものはムリに売るのをやめるべきだ。そして良い方へとヒト・モノ・カネ・時間・情報の経営資源を移動させるべきである。なぜなら、売れ行きが良いのは「お客様の要求に合致」しているからであり、悪いのは合致していないからである。
会社の本来の目的である「お客様の要求に応える」ことを度外視し、「計画を達成すること」を目的としてしまっているからうまくいかないのだ。いわば”計画達成病”だ。この誤りは、”些細な誤り”では済まされない。「絶対にやってはならない重大な誤り!!」だ。
せっかく経営計画を立ててPDCA管理をしようとしても、肝心のA(対策)が誤った方向を向いたのでは何もならない。こうなるのなら経営計画など作らない方がよっぽどマシだったのだ。
計画達成病はまた、社内の”人間関係も悪化”させる。経営側は原因を突き止めようと”犯人捜し”に走る。売れ行きの悪い原因を探すのだから当然そうなる。一方の社員側は”犯人”にされないようにと「言い訳」を考える。こうして社内の人間関係が悪くなる→会社業績も悪化する→悪循環に陥る。
ではどうすればこの悪循環に陥らなくなるか。答えは”お客様の方を向”「顧客志向」、および「社員を大切にする」だ。上述したように、「売れ行きが悪いのは「お客様の要求に合致していない」から」へと志向をシフトさせることだ。こうすれば自然に好循環に変わる。数字だけ合わせようとしてもダメだ。数字の前に「お客様」と「社員」がいる。数字は結果だ、お客様と社員を大切にした結果として数字が改善するのだ。
いくら”データサイエンス”の時代になっても、この基本はけっして忘れてはならない。