ダメ会社、良い会社、悪い会社
2019年10月2日
「愛と繁栄を実現する経営改革」
家庭用品製造業A社は、新商品の消臭剤の売れ行きが絶好調だった。本体の生産は順調で品切れはなかったが、外注に出している容器の生産が間に合わないという。あと半年待ってくれとの要求だ。この要求を会社はすんなりと受け入れた。本来ならば「間に合わないのなら、他の外注先に出す」、あるいは「何か要求があるなら相談に乗ってもよい」など硬軟織り交ぜた交渉をしてなんとか急がせるところだ。しかし、同社は”外注あっての当社だ”とみっともない交渉事はしない方針だ。要は”お人好し”の会社だ。
ゲームソフト開発のB社には伝説的な職人がいた。卓越したスキルを持った人で人気ゲームソフト次々と世に送り出していた。あるとき本人から”独立を理由に辞めたい”との申し出があった。会社はこれをすんなりと受け入れた。本来ならば「経営経験がないからムリだ」「待遇が気に入らなければ相談に乗ってもよい」などとなんとか食い止めるところだ。しかし、同社は伝統的にそういうことはしない。そういうやり方を”みっともない”と考えている。やはり”お人好し”の会社だ。
A社もB社も業績はいつまでたっても良くならない。こういう会社を「ダメ会社」と呼ぶ。
「ダメ会社」に対して、IBMという会社は全く違った。私もかつてIT企業勤務時代には同社特約店事業に携わっていたからよく知っているが、上記ダメ会社とは真逆だ。最近のことはよく知らないが、少なくとも当時は真逆だった。けっして人当りは良くない。例えば、直販が特約店の見込客を奪ったり、SEの態度が横柄だったりなど、ねちねちしていて実に嫌らしい会社だった。しかし、業績は良かった。今でもそこそこ良いようだ。こういう会社が世の中では「良い会社」と呼ばれる。
ちなみに、「悪い会社」とは、いわゆるブラック企業だ。嫌らしくかつ業績も長続きしない。論外だ。では、「良い会社」と「ダメ会社」の原因はどこにあるのか?一言でいえば、「顧客志向かどうか」にある。良い会社は顧客志向だが、ダメ会社はそうではない。
IBMは、営業やSEは横柄だが、会社方針は徹底した”顧客志向”だった。例えば直通電話番号アナウンスは「技術修理受付」から始まった。また、プレゼンテーションで訴えたのは、”商品の優位性”ではなく、専ら”顧客にとってのメリット”であった。(当時としては珍しいことだった)
一方の「ダメ会社」は、”お人好し”なのだが、実はお客様の方を向いていない。容器の問題で困るのは外注よりもお客様の方だ。また、伝説的職人がいなくなって困るのは会社よりもお客様の方だ。彼らの要求を受け入れるのではなく、「間に合わないのなら他の外注先に出す」とか「経営経験がないからムリだ」などと言って説得するのでなければ”顧客志向の会社”とは言えない。”外注あっての当社だ”とか”みっともない”というのは、怠慢の言い訳だ。交渉するのが嫌だから言い訳しているだけだと言われても仕方ない。「良い会社」はこれをやっている。社員が嫌がってもトップがやらせている。”顧客が最終的に選ぶのは顧客志向の会社だ”ということをトップがよく心得ているからだ。こういうことが会社の業績を左右するのである。
いかに時代が変わりビジネスモデルが変わろうが、アナログがデジタルになろうが、この「顧客志向」の基本は決して変わらない。GAFAの強さの本質もここにある。これを誤ると第四次産業革命版のGAFAにはなれない。
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