新年度を始めるにあたり
2019年4月10日
物流よろず相談所
新年度がスタートしました。今年5月から新たな元号「令和」が始まります。平成は東北大震災を始めとする大きな災害に見舞われ続けた年々であったとも言えるでしょう。「令和」がその意味するように穏やかで平和な年々であって欲しいと切に願います。日本列島は本格的な春に突入したというのに、日々の天候は安定しません。相変わらず寒暖の差も大きく農作物への被害も懸念されます。無事年度末を終え、一息つかれた皆様のお体も気になります。体調などくずされませんよう、お気を付け下さい。
さて、依然として気温と同じく低調なままの消費。貨物量の減少も相変わらずです。しかし、ここにきてマイナス歩調に緩みも出始めています。10月に控える消費税増税を考えると嫌なことばかりが気になります。増税分を運賃に転嫁できるか懸念されるところでもあります。これまで長きにもわたった“節約”にもそろそろ食傷気味のきざしが・・・。人々のこの“節約疲れ”が消費を揺り動かし、再び物流にあの活気を与えてくれることを願いたいものです。
物流業界では未解決の問題が、解決せぬまま封印され続ける現在の日本。人材不足や燃料高騰もさることながら、納得できぬ各種料金の値上げなど、胸の悪いことも多いですね。物流業を始めとする多くの労働集約産業は深刻な人材不足という大きな壁に直面しています。課題を回避するため、ロボット等様々なAI機器に最適環境を求める企業現場も、増えて参りました。ただ、決して少なくはない投資を代償にした結果、得られたものはどの程度であったか、考え検証して行く必要はあるでしょう。
物流現場を支える作業員やドライバーの不足という問題の裏には、根深い要因が存在することを周辺社会はもちろん、企業担当者ですら気付いていないことも多いはず。宅配便を例に上げると、ひと昔前に比べその取扱い個数は3割以上も増えているのに、ドライバーの数はほぼ横ばい、しかもその年齢内訳は40歳代以上が7割強を占めています。20歳代は8.9%、30歳代も18.8%という現状を見ると、働き手を獲得、定着させる取組みを実現して行くことがまず先決でありましょう。
国交省主導による働き方改革実行委員会は、荷主を始めとする周辺関係者にも対象を広げ、物流業界における働き易さを進めようとしています。過当競争時代から続いてきた長い“運賃無料”時代を消費者の多くは引きずっている、とはよく言われることですが、社会に向けて物流の現状を辛抱強くアピールしていく事も、必要な作業のひとつであると思われます。通販大手のアマゾンは、客からの注文品を即座に配送トラックの中で3Dプリント化し、そのまま届けるというシステムを実用化に向け検証しているとのこと。ここだけを聞いた多くの顧客が宅配の手軽さに、よりうがった見識を抱かないか、不安を覚えてしまいます。
物の流れには、たくさんの人の手が複雑に絡み合いながら介在しているということ、そしてその多くは人々が寝静まった夜間に、あるいは豪雪や酷暑の中、働き続ける現場スタッフの苦労によるものであることを、今後私も様々なシーンで伝えていくお手伝いを、続けて参りたいと思います。