提案書の進め方
2019年3月13日
物流よろず相談所
提案するには、ニーズの把握が必要であることを前回説明させていただきました。今回は提案書の進め方について述べさせていただきます。提案を、ステップから構成までスケジュール化してみたいと思います。提案書を無計画に始めると、ただでさえ多額のシステム投資や複雑な導入行程を要する業務に余計な時間と労力が加わり最終提案までたどり着けない事もあり得ます。
まず提案先の企業が抱えている課題を見つけねばなりません。
顧客の市場環境、業界共通の課題を整理、絞込みを行い顧客個々の課題を発見しましょう。顧客は、日々の業務に追われ自社の課題を漠然としかとらえていないということが多いものです。そのために課題を放っておくと発生するであろう不利益を明確にした上で、解決の為の方法と利益を提案すること望ましいと言えるでしょう。
顧客の課題を的確に把握しなければ解決策も利益も提示出来ません。そのためにも調査による分析が重要となります。企業課題調査から始める必要があります。顧客の市場環境、顧客業界特有の課題、顧客固有の課題、調査によって発見できた課題等を整理することで、見出した解決策を提示し、この解決策を実施することで得られる利益を示すことが、提案の流れとなります。顧客へ提案する内容が複雑・高度であればあるほど、問題点や課題の調査・分析が重要になります。調査が充分でないと、説得力に欠け、提案書の作成が困難になってしまいます。
しかしながら、現場調査は決して容易ではありません。筆者のこれまでの経験でも言えることですが、現場は現行の作業内容ややり方を変更することには必ず抵抗感を示します。当人達にとってメリットのない改善は受け入れがたいものですから調査へ協力をしようとはしません。ライバル企業が現在請け負っておる仕事である場合はことさらその詳細を知ることは簡単ではないということを踏まえておきましょう。
例えば現場スタッフだと、業務の簡素化、迅速化などオペレーション等に変更があると反発が考えられます。管理スタッフだとシステムの安定、拡張性費用対効果が見込めるか、新システム移行によるシステムの不安定性、導入効果に不信を持つでしょう。現場責任者であれば、業務の簡素化、迅速化、適格化が結果的には、既得権の喪失につながらないか、自分の地位保全など懸念を持つでしょう。経営陣であれば経営の効率化、費用対効果が見込めるのか、導入後即効果が出せるのかなど求めるでしょう。
物流改善、改革は、経営者のトップダウンよりも、各部門の調整が優先される場合が数多くあります。導入前に各部署のネゴシエーションが絶対必要です。提案書にはこのことを踏まえて実現可能な案を提示しなければなりません。