「シナジー効果」と「おやじギャグ」
2018年11月14日
『徒然日記』
なぜか最近この「シナジー効果」という言葉を、良く見たり聞いたりしています。もしかすると、ほかの方々よりも、私の方が気になっている言葉だからなのかもしれません。
と申しますのは、昔、会社の“思い出したくないタイプの上司”が、ことある毎に「シナジー効果、シナジー効果」と、何とかの一つ覚えのように、嬉々として口にしていたからです。「なんで、そんなことが“シナジー効果”に結びつくのか!?」と、その言葉を聞く度に思っていました。得意の「おやじギャグ」を使って、「なんたる“オヤジー非効果”だ!」と秘かにつぶやいていました。
ここで、いつもの“余談”に入らせていただきます。先日、かの「チコちゃんに叱られる」を見ていましたら、「なんで、おじさんは“おやじギャグ”をよく言うのか?」という問題が出ていました。残念ながらゲストが正解してしまい、チコちゃんは、「ぼぼぼぼ。つまんねえ-ヤツだわ!」と、ふてくされていました。
この答えを「脳科学者茂木健一郎博士:談」の受け売りでご伝授いたしますと、こういうことになります。
【何かの言葉を聞いた時に、この瞬間に左脳にある「側頭連合野(そくとうれんごうや)」が活動する。ここは、言葉についての記憶や情報が保存されている部分で、いわば「脳の国語辞典」のようなものと言われている。1000億と言われる脳の神経細胞から“おやじギャグのもと“は生まれる。さらに、一つの記憶から他の記憶を思い出す「連想記憶」は、年齢を重ねて、ボキャブラリーが増えるほど能力が高まってゆく。その一方で脳の前方に位置する「前頭葉」(理性をつかさどり、感情をコントロールしている部分)は、歳と共に働きが弱くなっていく。そのようなことで、若いうちは「前頭葉」の制御が働き、「こんなこと言ったら恥ずかしい」とブレーキがかかるが、「ボキャブラリーの増加と、前頭葉の働きの弱さ“の”シナジー効果”???で、「おやじギャグ」が大発生する」・・・というわけです。この番組の、締めの言葉は、「50代を過ぎると始まる脳の暴走。Oh~No~」でした。傘寿の私は、「カサ(嵩)にかかって」次々と“お爺ギャグ”が湧き出てきます(制御不可)!?
さらに、余談を続けます。それに対して、「おばさんギャグ」をあまり聞かない理由の補足説明。【男性は主に言語をつかさどる「左脳」を主として使うのに対して、女性は記憶やイメージをつかさどる「右脳」にプラスして「左脳」を使っているので、「おばさんギャグ」は、なかなか思いつかない】そうです。
お待たせしました。本題に戻ります。今更説明はご不要と思いますが、我が「前頭葉」をもう少し活性化させたいために、述べさせて頂きます。
<シナジー効果>(相乗効果)
【企業がM&Aや経営多角化戦略を行う際に、経営資源の有効活用や異なる事業を組み合わせることにより、単なる利益の合計だけでなく大きな付加価値を生み出す効果のこと】それに対して、
<アナジー効果>という「反対語」があります。“事業間の相互マイナス効果”という意味です。【シナジー効果を期待して、買収や合併、多角化をしても期待値以下の結果になってしまい、期せずしてアナジー効果となってしまうことがある】です。積年の恨みで申し上げますと、かの“元上司の施策”は、<アナジー効果>の結果の方が多かったように思いました。
そのことを思っていましたら、このような言葉に出会いました。<“CVC”Corporate Venture Capital(コーポレート・べンチャー・キャピタル)>です。
【顧客の要求が多様化・高度化する今日、大企業は自社内で全ての開発を行うことが益々困難になってきています。一方で、ニッチながらも独創的な技術やアイディアを持つベンチャー企業との連携は、大企業に製品開発期間の短縮化や新製品・新市場開拓をもたらす可能性があります。これまで事業拡大のために確保してきたM&Aや研究開発予算の一部を、ベンチャー企業が保有する技術、アイディアの活用に充て、オープンイノベーションの一手段としてCVCファンドを設立する動きが増加しています】(フューチャーベンチャーキャピタル社H.P.より)
そのようなことで、現在、かなりの日本の大手企業が、この<CVC>によっての<シナジー効果>による、新規事業開発能力や競争力向上を企図しています。
企業の寿命は<30年>と言われています。私の卒業した会社は、東京オリンピック開催の年に<創業70年>を迎えます。“身内のお手盛り”で恐縮ですが、「イノベーション」や「リノベーション」に「シナジー効果」を加えての企業努力で、業界で注目される企業としての“変身”を重ねています。
当・国際物流総合研究所では、「次世代型倉庫業キックオフ講座」を開催していますが、私は講師として講義の中で「たねや」を紹介しました。数百年の歴史を持つ企業ですが、もともとは江戸時代の材木商で、当時は大繁栄しましたが、業績が衰えた時に、穀物や根菜の種子販売(種子屋)に商売替え。さらに、:和菓子屋「たねや」に変身。洋菓子も加えての注目企業として今日に至っています。フラグショップ店「ラ コリーナ近江八幡」は滋賀県の観光名所として多くの人が訪れています。ご興味のある方は、同社社長山本昌仁氏著「近江商人の哲学」をご覧ください。
ということですが、表題「シナジー効果」と「おやじギャグ」を同時に取り上げた“相乗効果”は、自分でもわかりません。<アナジー効果>の『見本』ということで、ご容赦ください。