エアバス ベルーガST商業貨物輸送事業から撤退
Daily Cargo 2025年2月3日掲載
欧州の大手航空機メーカー、エアバスは、大型輸送機「ベルーガST(スーパー・トランスポーター・ベルーガST、A300-600ST型機)」による商業貨物輸送事業から撤退する。運航会社のAirbus Beluga Transport (AiBT)はすでに同機のオペレーションをしておらず、事業終了に向けたプロセスを進めている。
超大型機の分野では、競合企業である米ボーイングが2023年1月末にアトラスエアへの納入を最後に生産終了している。長期化するロシア・ウクライナ戦争の影響で、ロシアの航空会社であるボルガ・ドニエプル航空や、ウクライナのアントノフ航空などが運航していたアントノフ124(An124)型機の利用も限定的になっていた。一方で足元の国際航空貨物輸送需要はアジア発を中心に底堅く、超大型の輸送力を持つベルーガST事業の成長可能性が見込まれている環境にあった。
今回、商業貨物輸送事業撤退の要因についてエアバスは「市場が求める条件にお応えできなかった」(エアバスジャパン広報担当者)としている。
ベルーガSTはもともと、エアバス機の部品輸送を行う特別輸送機として合計5機、運用されてきたが、後継機のベルーガXL導入とともにその役目を終えた。
ベルーガSTはA330-200F型機をベースに開発された機種で、航空機部品を搭載するために大きく突き出たメインデッキが特徴的だ。貨物搭載重量は約40トンだが、貨物室は全長39メートルと史上最大級。最大、幅6.7メートル×高さ7.1メートルと収容能力が大きく、バルキーな超大型貨物への対応力が強みだった。
エアバスが、ベルーガSTによる商業貨物輸送事業への参入を発表したのは、新型コロナウイルス禍中で航空貨物需要が高まっていた22年1月だった。24年1月にAiBTが独自の航空運送事業許可(AOC)を取得し、ベルーガSTの大きな輸送力を生かし、「超大型貨物(オーバーサイズカーゴ、アウトサイズカーゴ)に強い焦点を置き、商業貨物輸送を手掛けていた。
エアバス機の構造体輸送に現在も使用している、ベルーガXLについては、エアバス傘下の航空会社Airbus Transport International(ATI)が引き続き運航を継続する。
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