変化に対応できる物流企業となる
2024年1月31日
物流よろず相談所
国内外の経済や景況感は依然として暗い雲に覆われています。コロナ禍からようやく抜け出した初めの年は、能登半島地震からのスタートとなってしまいました。翌日には羽田空港で日航機と海上保安庁の機材が衝突するという考え難い事故も発生。改めて被災された方々、お亡くなりなりになられた方々には、心からお見舞いとお悔やみを申し上げます。2024年は初日からBCPの必要性と平時における訓練の重要性を、あらためて認識させてもらうことにもなりました。また事が起きたその時の初動体制までは、常に整えておかねばならないことにも気づかせていただきました。新しい年の経営方針と共に自社全体における危機管理体制も再確認・共有しておく必要があるでしょう。
それでも人々の暮らしは日々営まれ、それに伴なう物の流れも黙々と続けられています。新型コロナ1人目の国内感染者が確認されてからほぼ3年以上が経過。パンデミックの底知れぬ脅威を全世界の人々、そして企業が嫌というほど思い知らされました。そもそも地震や台風などの自然災害に、前例や対応マニュアルなどというものは存在しません。ただ少なくとも復興の見通しについては規模や種類などによりある程度の予測や予算を立てることが可能で、人々のメンタル面での支えにもなるものでしょう。世界各国で接種が行われ、国内でも2類感染症からインフルエンザと同等の5類に変更区分され、普段の生活を取り戻しはじめました。それでもコロナによる経済へのインパクトが大きく、消費流通の流れにも店舗を介在しない仕組み、特にインターネットを介在とする物流、Eコマースが拡大する結果となりました。働き方もオフィスワークだけでもなく、在宅ワークも相まって動きが変わります。ビジネス以外でも渋谷を行き交う人々の流れは依然として減っているようには見えませんが、それでも大型店舗や飲食店の直接的な売り上げは大きく減少しているようです。
EC化の加速が明らかな今、個人が直接物やサービスとつながることが、ますます増えてきた、ということは明らかです。またこの傾向はメーカ側の商スタイルにも影響を与え、今では中間卸を介せずD to C(ダイレクトtoカスタマー)で物を売るケースも増えてきています。この“顧客と直接つながりたい”とする製造側のニーズは、今後の物流市場において、大きな成長のカギを握るものとなるに違いありません。物流サプライチェーンの組み立てやエンドユーザーの膨大な情報を確保している物流業者は、こういったメーカ側から見れば理想のプラットフォーマーに他ならないはずです。たとえこれまで未開発の分野であったとしても、需要予測に基づく生産体制の変更などは、過去の豊富な経験や顧客データを基に、メーカに合わせた物流プラットフォームを構築していくことができれば、対応も可能です。予測不能なパンデミックや自然災害時にも、被害を最小限に抑え事業を継続・再開していけるよう、出来得る限りの細かいデータ回収と活用が必要ですし、これは事業者側にとっても非常に有効な取り組みであることは確かです。流通のサプライチェーンを物流業者が主役となって進めていくためにはやはり少なからずAIの力を借りることが必要ですが、これは来年・再来年といった極めて近い未来、必ず強力な武器=高い企業スキルとなり得ることに違いないでしょう。全産業が暗闇で模索を続ける今だからこそ、チャンスは発見し易いと信じ、挑戦を続けたいものです。
コロナ感染拡大を契機に物の流れが大きく変化する中でどのように物流企業は勝ち残るかを考えましょう。そのために物流業として重要な品質の問題を考えてみたいと思います。物流業を取り巻く経営環境は年々厳しさを増しています。このような時こそ、物流業とはどのような事業なのかを、原点に戻って見つめ直したいものです。物流企業としての自社を、外部の目線からもう一度分析・評価してみましょう。本当の意味でお客である荷主から信頼されているのか、お客が期待しているサービスができているのか、多方面から確かめたいものです。
日本を含めた世界規模での経済見通しは2024年依然として成長率2.4%と鈍化。ただし国内の経済活動に目を向けると中小企業の賃上げにも期待が高まり、現状足踏みが続く景気も、下振れ懸念は少なそうです。世界全体で考えると変わらぬ円安傾向も含め日本にとっての形勢は不利なことが多いように思えますが、これほど優れた人材や企業を多く抱えたこの国がこのまま消沈してしまうはずはないと考えます。ひとつひとつの企業が潜在能力を引き出し、ゆらぎに負けぬ構えを整えておくことが今は必要でしょう。また企業の成り立ちは1人1人の従業員が支えるもの、という基本の考えも1年の始まりに当たり改めて心に刻んでおきたいものですね。