2024年問題対策 ~その2~
2023年8月2日
物流よろず相談所
前号(1.~3.)に引き続き、物流業者がなすべき対策を列挙していきたいと思います。
4.検品時間の削減
検品が必要な納品物の場合、検品が終了するまでドライバーが待機することになり、そのための待ち時間が30分以上かかっているケースがほとんどです。検品時間を削減することにより、ドライバーが待っているだけの無駄な時間を減らすことができるようになります。そのためには出荷データを確認することで検品レスの仕組みを構築することが必要です。検品を無くせないという場合も多いかもしれませんが、予めQRコードなどで内容物を登録し管理するシステムを構築することで検品時間をなくすことが可能となります。
5.運行計画の見直し
運行計画の見直しも、2024年問題への対策としては効果があります。同じ場所に荷物を輸送する場合でも、通るルートによっては時間が大きく異なります。高速道路を活用することで一般道を走るよりも時間は短縮可能となるなど高速料金と高速道路を利用するメリットを比較して、ルートを考えるようにしましょう。できるだけ空車にしないルートを考えることも重要なポイントです。適切な運行計画を立てることで、ドライバーの稼働時間が削減され、負担が減ります。配送件数の集約や配送頻度の見直しを荷主と協力して検討することも重要です。
6.IT、デジタル化の推進
2024年問題への対策として、IT化やデジタル化を進めることも重要です。IT化やデジタル化を進めることにより、これまでドライバーに負担がかかっていた業務を効率化でき、客観的かつ確実性のある管理が行えるなどのメリットがあります。例えば、配車や輸送計画のデジタル化などが挙げられます。輸配送管理システムなどを導入することによって、人の経験や勘だけに頼らずデータをもとにして、最適な配車、輸送計画が立てられるようになります。これまで伝票など物流業界では紙が主流であり、仕様が物流企業によって違うなど業務が煩雑化していましたが、伝票をデータ化することで、業務の負担が減り生産性も向上すると考えられています。IT(DX)化にはコストがかかりますが、これからの時代を生き抜くには必ず通らねばならない道、長期的には業務効率改善も期待でき、費用対効果も高まると思われます。
7.運賃交渉
このテーマは2024年問題における中核をなすもの。運送約款の変更で、付加サービスが別途料金であると明示されました。また国交省が示している標準的運賃から見ても安価な物流サービス提供を強いられているというケースも多いようです。物流を止めないための運賃交渉は重要です。しかし、運賃交渉がうまく行かないという経営者の方も多いようです。理由は? ①何を根拠に交渉を始めたら良いのか、②口頭で伝えたが取り合ってもらえない、③どのくらいの金額を提示すべきか、④荷主企業との関係性を悪くしたくない、⑤正式な契約書がなく、提供サービスが不明確、等の理由で交渉していない事業者も多いようです。荷主企業との運賃交渉は、運送事業者が従業員の雇用を守り、事業を継続していくため絶対必要です。運賃交渉の進め方は次号で詳しく解説いたします。
他にも、ドライバーの能力を引上げ、多様な車種や仕事内容をこなせるオールラウンダーを育成したり、自社の車輛を大型化したりすることで効率化を計ったり、同じ方面や場所に運ぶ事業者と協力して共同配送を構築するなど、ドライバーの働き方問題とされている2024年問題に対して今から備えるべきことはまだ多いと言えるでしょう。