調整後純利益8%増、国際輸送は減益 香港ケリーロジ<22年12月期>
Daily Cargo 2023年3月30日掲載
香港ケリーロジスティクスの2022年12月期通期連結決算は、前期に売却した事業の業績や売却益を差し引くなどした調整後純利益が前期比8.2%増の35億7919万香港ドル(HKD、約599億円、1HKD=約16.8円)だった。前期との単純比較では57.7%減だった。国際フォワーディング(IFF)事業は香港と中国本土での市況悪化で小幅な減益も、倉庫配送などの統合ロジスティクス(IL)事業が堅調だった。
売上高9.7%増の866億HKD(1兆4530億円)、粗利7.2%減の83億5165万HKD(1400億円)、営業利益6.3%減の53億191万HKD(889億円)、税引前利益8.8%減の50億7584万HKD(851億円)だった。
セグメント別の業績はIFFが売上高13.9%増の674億HKD、利益2.5%減の47億300万HKD。ILが売上高2.2%増の131億HKD、利益28.1%増の13億7500万HKD。今期よりILから独立させたeコマース(EC)/エクスプレス事業が売上高12.1%減の60億9000万HKD、損益は8億2600万HKDの赤字(前期は4100万HKDの黒字)だった。IFFの利益を地域別に見ると、香港が77%減の1億2800万HKD、中国本土が26%減の11億9600万HKD、「その他アジア」が19%増の8億8000万HKD、米州が28%増の19億7800万HKD、欧州が35%増の3億9900万HKD、オセアニアが37%増の1億2200万HKDだった。
ケリーロジには昨年、中国民営快逓(小包や文書のエクスプレス)大手、順豊速運(SFエクスプレス)グループが51%出資し、SFグループが親会社となった。一方、SFグループの買収条件として、香港での倉庫事業や台湾事業の整理を行っている。SFグループとの統合については、アジア地域での輸送力やネットワークの増強やクロスセールスの進展など効果が見られているとした。
ケリーロジのウィリアム・マー・グループマネージングダイレクターは今後の見通しについて「2023年の世界経済は、市場のボラティリティ、不確実性、リスクが大きくなり、より大きな減速に見舞われるだろう。完全な回復への道のりは長く険しいが、アジアの輸出は、楽観的なシナリオでは、早ければ4~6月中にも徐々に回復すると見ている。ただ23年は世界の物流市場にとって、ここ10年以上でも最も厳しい年となる。22年上半期に当社グループが過去最高の業績だったことを考慮すると、それに比べてかなりの落差が生じると予想される」とコメントしている。
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