WITHコロナ時代を勝ち抜くには
2022年10月5日
物流なんでも相談所 Vol.50
新型コロナウイルスの影響を受け、物流・運送業界は大きな打撃を受け続けています。Withコロナの時代を生き残るにはどうしたらいいか、まだまだ戸惑っている事業者の方も多いのではないでしょうか。多くの事業者が物流量の減少や運賃下落、さらには燃料費高騰などによって収益低下に苦しむ一方で、少数ですが、影響を受けることなく増収している事業者もいます。今後、時代がかわっても求められる物流事業者になるためには、品質の向上と差別化が絶対必要となってきます。もちろん輸配送の効率を最適化していくことは必須ですし、それを支えるための情報システム投資と、人材育成のための研修など費用がかかることは間違いないでしょう。2024年問題を間近に控える物流業者にとって、課題は山積しています。
コロナの影響は様々です。新型コロナウイルスの影響で運送業者の仕事が減った事業者に考えられる要因は、1つ目に、海外からの輸出入の停滞、2つ目には、顧客である店舗・宿泊施設の営業自粛です。新型コロナの影響により、まず中国からの資材輸入がストップし、幅広い分野で配送量が大幅に減少したことが考えられます。貨物減少の影響で、休車せざるを得ないケースも出たようです。外食産業や観光業もインバウンドの減少で営業縮小や自粛を余儀なくされ苦境に立たされました。その影響で貨物量にも同様の需要減少も発生しました。レストランやホテルが営業しなければ、平時に必要だった食料や資材も不要になり、芋づる式に運送業者の仕事量も減少してしまいました。業種別に見てみると、外食・観光・航空・旅行・ゼネコンなどの建築・製造などの業種へ運送を行っている事業者に仕事が減ったという傾向が見られます。新型コロナウイルスによって仕事が減った事業者にはいくつか共通点が見られます。①1社、もしくは少数の荷主としか取引をしていない、②特定の業種のみと取引している、③参入障壁の低い業務をしている、④営業活動をあまりしていなかった、などが要因として考えられるかもしれません。コロナ以前からの仕事のやり方に固執し、開拓を求める気概を持たなければ、配送量は減る一方となってしまうでしょう。
一方で運送会社の中には、新型コロナウイルスの影響を受けなかったところもあります。その理由として以下のことが挙げられます。①減った配送量をカバーするほど他商品での貨物量を確保した(具体的には医薬品や日用品の配送が増えた)、②複数の業界と取引があったので減少した貨物分に充てていた車両を別の仕事に回すことができた、③他社には真似のできない差別化できる特徴がある業務内容だった、④営業活動に力を入れていたために、既存荷主の売り上げ減少分を新規荷主売り上げでカバーできた、などの要因が挙げられます。業種でいうと、医療機関・食品・ネット通販などへの運送を行っていた運送業者では、コロナの影響を受けにくかった傾向もあるようです。医療機関や調剤薬局向けの配送は、コロナ禍においてもっとも必要とされる配送のひとつと言えますし、またテレワーク拡大やステイホームが増えたことで日用品や食品を買いだめする動きもあり、食品・ネット通販の荷量は増えました。商品の中には、トイレットペーパー、マスクやアルコール消毒薬など一時は供給が需要に追いつかない事態になることもありました。
新型コロナウイルスによる影響を受けなかった運送業者にみられる特徴は、影響を受けた業者と反対の要素を持つ業者です。①複数かつ多数の荷主と取引をしていた、②多種の業種と取引していた、③参入障壁の高い業務をしており、競争力が高い、④営業活動を積極的に展開しており、顧客ニーズに敏感に反応できた、などの特徴がありました。新型コロナウイルスのような予期せぬ事態が起こった時に、いかに柔軟に従来の業務形態を変えていけるかも、今後を生き残るための重要な要因になります。新型コロナウイルスと共存する時代に求められる物流業者になるためには、輸配送の効率化、IT化に取り組むことも必須でしょう。Withコロナ時代を生き抜く運送会社になるためには、課題も多く、決して簡単なことではありません。この課題を克服することができた上で、変化に対応できる事業者となり、荷主である顧客に選ばれことが大事です。まずは無駄をなくすこと、事故や燃料高騰を抑えるためのエコドライブの徹底も大事なポイントです。やはり人材育成に力を注ぎ他社との差別化と効率化に向けて、一日も早く取り組むことが、現状の改善につながると信じます。