18歳は「成年」
2022年4月13日
『徒然日記』
いまさら申しあげるまでもないことですが,この4月1日から、これまでは「20歳」だった成年年齢が「18歳」に引き下げられました。
選挙権年齢はすでに18歳に引き下げられていますが、国際的にも成年年齢は18歳が主流であることなどから、我が国では百数十年ぶりに「成年」の定義が見直されました。
歴史を紐解くと、我が国において「成年年齢」は、奈良時代に起った「元服」に由来していると言われています。年齢は特に定められてはいなかったようですが,12歳~16歳頃に、男性は、社会的に一人前になったことを示す「元服」の儀式。女性は「髪上げ」「裳着(もぎ)」の儀式を行っていたようです。
そして明治9年(1876年)に「太政官布告」が出されて「満20歳が成年年齢」と定められました。その当時、欧米諸国は「21歳~25歳ぐらいを成人年齢」としていたようですが,当時の日本の平均寿命が「約43歳」という短さだったことを考えると,その年齢が,いわゆる「落しどころ」だったかも知れません。
ということで、2022年4月1日に18歳、19歳に達している人は、その日から「新成年」となります。
それでは、「成人式」はどうなるかと調べて見ましたところ、私の住んでいる「横浜市」をはじめとして、 多くの自治体が従来どおり「20歳」を祝う式典を「2023年以降」も行なう予定のようです。その訳は、「18歳の多くは高校生なので、受験や就職準備で忙しい時期」(開催するのは従来と同じ1月のようです)ということと「進学や就職前で家計負担が増える時期でもあるので、ふさわしくない」と言う理由(理屈?)からのようです。
しかしどうなのでしょうか?来年は「20歳の人を祝おう」と言うことになると、「18歳と19歳の成人」は、祝って貰えなくなってしまいます。それでは「18歳、19歳、20歳まとめて」となると、単純計算で「3倍の該当者」が参加することになりますので,各自治体には、それだけの人数を収容できる開場がほとんど無いのではないかと心配になります。
一昨年20歳になった私の孫娘(横浜市民)の「成人式」は,「横浜アリーナ」という「立派な会場」で開催されましたが、午前と午後の2回に分けて「約25,000人の新成人」が参加しました。
因みに「コロナ禍」の昨年成人式は、“密”を避けて「横浜アリーナ」と「パシフィコ横浜ノース」の2会場に分散。本人のみ参加で、2会場×4回=8回開催。式典は各15分でした。
ところで、「野次馬根性」的に思うのですが、「成人は18歳」ですので,「20歳を祝う式」はどのような「名前」になるのか,興味があります。平凡なところでは「20歳のつどい」でしょうが,「それも有りだな」と頷いてしまうような名前が出てくることを期待しています。皆さんはどのような「名称」をお考えでしょうか。私ですか?流用されるのはシャクですので「内緒」にさせていただきます。
成年年齢が18歳に引き下げられましたので、今までは20歳にならないと独自には出来なかったいろいろなことが、「自分一人で出来る」ようになりました。
たとえば「契約とかローンを組むとかクレジットカードを作る」などは「親の同意がなくても出来る」ようになりますが、大きな責任がかかって来る事への自覚を心配する声も上がっています。
そのことに関して、金融庁は4月から、全国の貸金業者を対象に18、19歳への全ての貸し付けを監視する方針を固めました。【貸金業者から月に一回報告を求め、高額な貸し付けを繰り返すなどの動きがあった場合は、業者への聞き取り調査をする】ということです。しっかりとこの制度が機能することを願っています。
その一方で、女性が結婚できる最低年齢は,これまでの16歳から18歳に引き上げられ、結婚できるのは男女ともに18歳からとなりました。
また、成年年齢が18歳になっても、飲酒や喫煙、競馬などの公営競技に関する年齢制限は「20歳」のままです。健康被害への懸念や、ギャンブル依存症対策などの観点から「現状維持」されました。
さらに問題になっているのが「少年法の適用範囲」です。現在は20歳未満の少年に適用されていますが昨年5月に成立した「改正少年法」では、「罪を犯した18.19歳を『特定少年』として「少年法の適用範囲にとどめる」一方で,厳罰化することが決まりました。そのことに関連して、これまで「少年A」や「少女B」だった犯罪者を「実名」出だすことの是非が昨今話題になっています。
物流業界には関係しますが、18歳になると「深夜労働(午後10時から翌午前5時)」ができるようになります。当然「通常の労働時間の賃金の25%の割増料金」が支払われます。「「普通自動車運転免許の取得」は従来と同様「18歳以上」で可能ですが、「大型・中型自動車運転免許の取得」はこれまで同様「20歳」にならないとできません。
以上、「18歳成年年齢」に関して,思いつくままに書いてきましたが、皆さんの中で,該当するお子さん(もしかしてお孫さんも?)をお持ちの方がいらっしゃると思います。この際に今一度「新成年諸問題」と対峙してみてください。