輸送中の事故防止
2021年12月22日
物流なんでも相談所 Vol.39
物流業界は、これから1年で最も忙しい年度末に突入します。1件の事故によるダメージが普段にも増して大きく響く繁忙期、事前の準備や対策で予防できる事故は全て防ぎたいものです。多忙な中でついうっかりなど不注意で起こしてしまう事故も少なくありません。これから年度末に向かって繁忙期を迎える物流業、どうしても事故だけは避けたいものです。今回は、輸送中の事故削減を中心テーマにして述べさせていただきたいと思います。
荷物を輸送している途中で破損事故などが起きるケースもあります。この輸送中の破損トラブルは実際にどのような状況で起きているのか、その原因などについて確認していきましょう。
輸送中に起きる破損事故の原因として、最も多いのは「落下」による事故です。他にも「振動」「フォーク付きあて」「転倒」「荷崩れ」「水濡れ(汚れ、カビ、錆び)」「衝突」などがありますが、いずれも荷物が衝撃を受ける事で破損してしまう事が多いようです。そのため輸送中の破損事故を防ぐためには、荷物が衝撃を受けない様に対策していく事が必要だと言えます。輸送中に貨物が動かないように、ストレッチフィルムで保護したり、ラッシングベルトで固定したりすることで防ぐことも可能なはずです。重量物であればワイヤーやロープでの固縛をきちんとすることで安全輸送をこころがけ、商品事故を避けたいものです。
そして商品移送中の事故が発生する場所や状況なども確認しておく必要がありますが、これまでも取り上げさせていただいたように、やはり積み込みと積み下ろし作業時に起きる事が多くなっています。他にも海外等現地、輸送中、荷役中などで起きており、やはり人の手が介在したタイミングで起きますので、作業者に注意や警告が必要だという事が対策に繋がるでしょう。荷物にどの様な破損が見られるかというと、最も多いのは箱の潰れやへこみ、擦れといった外装破損のようです。内部の製品や商品にまで影響が及ぶ前に、箱に注意喚起など目立つ印を付けるなど対策が必要だと言えるでしょう。輸送を前提としてれば責任の所在は物流企業になりますので、現在物流企業で破損トラブルを未然に防ぐために講じられている対策としては、「衝撃検知シール」や「衝撃レコーダー」を導入する等です。他にも梱包強度を強化する事や、取扱注意を促す事、作業員に対する教育や安全研修なども行われています。
事故の発生要因を明確化し、責任を明確化する上で活用したいのが「衝撃探知シール」です。荷物が手元を離れた後に何かが原因で破損したけれど、それが輸送中や受取先の取扱いによるものだと思われる場合、証明するものがなければ責任の所在を物流業者が追及される事になります。このような場合に衝撃検知シールを取り入れる事により、作業者に対する警告・注意喚起が直接できる様にもなるだけでなく、衝撃が発生した時点で赤変するので輸送中の事故でない場合は証拠を残す事ができます。衝撃検知シールが貼ってある荷物とそうでない荷物に対する荷扱いはかなり異なってくることが予想されますので、事故や取扱不備などで発生するコストをトータルすればかなり削減できると思われます。乱暴に荷物を扱われて破損する事を防ぎ、作業員に意識を強くさせる事で安全に輸送ができる様になるでしょう。
どうかこれからの繁忙期、交通事故を防ぐことはもちろん、商品事故、労災など起こさない無事故で乗り切っていただきたいと思います。