物流なんでも相談所

コロナに負けない

2021年4月21日

物流なんでも相談所 Vol.27

 

全世界・全産業界において、今なお“コロナ”の禍を抜きにした話は残念ながら語れない状況が続いています。世の景況感が相変わらず低水準を続ける一方で、株価は多少の上下はあるものの、おおむね高値で推移。この不思議な乖離現象の裏にはやはり、世界的なパンデミックの長期化による勝者と敗者間の大きな格差がマクロ的な経済の中に存在しているということなのでしょうか。容赦ない厳しさを感じる一方でこの時代背景を味方につけることに成功すれば勝てるチャンスは十分あるという事実も理解しておきたもの。既存・新規の顧客を想定し、マーケットの調査を入念に繰り返していくことがまず必要です。

コロナウィルスは確実に経済にも悪影響を及ぼしています。景気によって貨物量が変動しその影響を受ける物流業ではテレワークや引き籠りの影響で売り上げを伸ばす物流企業もある中で、多くの物流企業が貨物量・売り上げもマイナスである経営を余儀なくされています。新型コロナウイルスの影響で仕事が減り、売上を落としている物流企業・運送会社には、いくつかの共通点があります。低迷する物流企業の特徴は、①限られた少数の荷主としか取引をしていない、②特定の業界に特化している、③差別化できるような特徴がない、参入障壁の低い仕事をしている、④営業活動を軽視してきた、などが考えられます。このような物流企業では社員が新しい仕事を嫌がり、チャレンジ精神も消えてしまっているというケースも見られます。一方大きな影響を受けず、業績の良い企業に共通することは①ドライバー教育が徹底しており、顧客の評価が高い、②専用車両の購入など、初期投資が大きく、参入障壁が高い、③物流を一括して受託しており、顧客との関係が深い、④棚入れまで行うため、配送先、荷主とも、顧客満足度が極めて高い、⑤特定業種や荷主に限らず、業種や荷主を分散している。ある物流企業ではメーカ需要の落ち込みを、新たに手掛けた医薬品物流が補っているというケースもありました。勝ち組の共通点は現場力と差別化とも言えるでしょう。他社が容易に参入できないための仕組み作りが大事ですね。

物流機能が経済活動、人々の社会生活を支える機能としてなくてはならないものであるだけに、なくなることはありませんが、これまでの経営を続けていけばいずれ立ち行かなくなることは想定の事実でしょう。どうすればコロナウィルスやそれだけでなく発生する自然災害などから企業を守ることができるのでしょうか?まずは、しっかり足元を固めることです。無駄な経費として事故やミスを減らすこと、すなわち現場力の向上がカギとなります。現場力のある企業は変化にも耐える強いスタッフが存在します。そのための教育など必要な措置をおこたってはなりません。その現場を鍛えあげたサービスは他社との差別化につながるだけでなく、商品として成長させてくれることになります。それに加えて企業戦略をもう一度練り直すこと、これが大事であると思います。自社だからできること、顧客ニーズをきちんと整理して必要なことだけを選択集中して強化して参りましょう。現在のコロナ下において再び見直しが進んでいる物流の共同化も頭に置きながら、顧客へのアピールをまとめておきましょう。競争から共創に向け物流の様式にも、これまでとはまた違った新しい流れが見えてくるのかもしれません。いずれにせよ経営者の皆様には、会社と社員の幸福につながるか否か、という様々な“難しい選択”の連続が、今後も続いていくことでありましょう。時代背景を見据えた上で、冒頭の2点をご理解いただき、これまで同様の正しい舵取りを続けていかれますよう、お願い申し上げます。

著者プロフィール

岩﨑 仁志

代表主席研究員

職歴
 外資系マーケティング企画・コンサルティングセールス


物流・運輸業界に留まらず、製造業や流通業物流部門などを対象にコンサルティングを行ってきました。国内外の物流改善や次世代経営者を育成する一方で、現場教育にも力を発揮し、マーケティング、3PL分野での教育では第一人者とのお声をいただいています。ドライバー教育、幹部育成の他、物流企業経営強化支援として、人事・労務制度改定に携わった経験から、物流経営全般についてのご相談が可能です。

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