河村俊信関東運輸局長 内航船員不足対応を地道に コロナ受け物流効率化を推進
Daily Cargo 2020年8月27日掲載
国土交通省の河村俊信関東運輸局長は26日、横浜市内で就任会見を開き、「日本を代表する主要港湾・空港がある関東のポテンシャルを最大限発揮し、日本全体への発展につなげる」と抱負を語った。相次ぐ自然災害や新型コロナウイルスの感染拡大については、「今までに経験したことのない事態が起きているが、所管分野を中心に最大限貢献していきたい」と話した。海事分野については、内航海運のモーダルシフト促進に向けた取り組みや、内航船員不足の解消に向けた取り組みを地道に進めていく方針を示した。
河村氏は1987年旧運輸省(現・国土交通省)入省。2014年7月海事局総務課長、16年6月関東運輸局次長、17年7月海上保安庁総務部参事官、19年7月国土交通政策研究所長、同年10月鉄道建設・運輸施設整備支援機構理事長代理を経て、今年7月21日付で関東運輸局長に就任した。
河村局長は、7月に公表した関東運輸局の行動計画を着実に実施していく方針を強調した。同計画では新型コロナへの対応、物流効率化・高度化の推進、防災減災対策の的確な遂行、関東運輸局における行政のデジタル化など大きく7項目を掲げる。新型コロナによる物流の変化については、「eコマース(EC)の利用増により宅配便の取り扱い貨物量が増加する中で、物流の果たす役割はますます重要となる。物流の生産性向上は重要な課題であり、物流総合効率化法による事業認定を通じた案件創出など、物流の効率化・高度化に向けた取り組みを一層推進していく」と語った。人材不足への対応については、「(物流業界の)将来性や魅力を発信し、より関心を持っていただけるよう取り組む」と語った。
海事分野では、モーダルシフトに言及。「フェリー・内航業界は厳しい時代が続いていたが、ここ数年はモーダルシフトの機運が出てきて、積極的な設備投資や新規航路の開設の動きがあった。新型コロナウイルスにより製造業をはじめとする産業構造などの変化があると予想されるものの、少子高齢化や環境対応などの問題もあり、大きな流れとしてモーダルシフトが進む方向は変わらないだろう。引き続き内航海運事業者には頑張ってほしい」と話した。
内航船員の不足に関しては、「事業者に取り組みにより30歳未満の割合が増加しているが、今後は高齢船員の大量退職が進むことが懸念されるため、若年船員の確保・育成が急務だ」と指摘。「人手不足対策の特効薬はない。新型コロナの影響もあるが、職業体験や海技者セミナーなど事業者と連携して地道に取り組んでいく」と語った。
港湾分野については、来年の東京五輪・パラリンピックに向けて東京港の混雑解消に向けた取り組みを加速していく。「連絡協議会などを通じて(施策を)検討し、円滑な港湾物流の確保に向けた取り組みを進めていく」と述べた。
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