― 新型コロナの発生で御社として対処したことは。
(置田社長)感染予防で随所にアルコール消毒液を置き、換気を行ってマスクも3回に分けて従業員に支給した。業務面ではアルコール飲料が落ち込んだ分、ドライバーを建設関係の配送にシフトした。かつてリーマン・ショックや東日本大震災の時でもアルコール飲料は落ち込まなかったが、今回は大きく落ち込んだ。当社にとって初の体験だが、従業員のマインドを変えるチャンスととらえ、部署間の相互協力で異なる品目配送に振り分けた。また、近年営業活動に力をいれてきたが、荷主に会えなくなったため、FAXでダイレクトメール(DM)を積極的に送るなどアナログスタイルに戻って取り組んだ。
このほか現在進行形でホームページのリニューアルに取り組んでいる。これまでのホームページは求職者目線でポップな感じだったが、今回は企業向けにコロナ問題も加味して安心安全を前面に出したものに作り変え、新コンセプトを積極的に発信していきたい。9月半ばに完成の予定だ。
― 新型コロナ問題が起きてから人手事情に変化はあったのか。
(置田社長)求職者、特に若い人がたくさん申し込んできて、6月はインディードのヒット件数も多かった。主にドライバー経験がない人たちだが、女性も多い。面談で入社に至らないケースも多いが、20代が2名入社した。
― 社内の人材教育や研修はどのように取り組んでいるのか。
(置田社長)安全対策はそれまで毎週やっていたが、緊急事態宣言があってから人が集合できなくなり、部門単位をやめて車庫単位など個人で受ける機会を増やしている。人材育成は外部と提携し、社内交通安全教育管理者育成コースを既に終えて、プロフェッショナル育成コースをやるところでコロナに遭ってしまった。プロフェッショナル育成というのは、セミナー講師を育てることで、将来的にはコンサルティングも含め事業化し、一般に広めていきたい。
― 新型コロナの感染はまだ収まらないが、今後の経営方針あるいは計画していることがあれば。
(置田社長)この間の取り組みを振り返って、よい結果となったことが2つある。一つは荷主構成を変えてきたことだ。10年前はアルコール飲料関係の配送が収入の8割を占めていたが、新業種の開拓で現在では4割程度に低下したため、全体でみれば傷も浅く済んだ。もう一つは経営や財務をオープンにし、社内で見える化を進めたことだ。月次決算も社内で公開しているため、管理職はもとより社員が誰でも見られる。4月の給与日には各社員に「安心して働いてください」と一筆添えた。見える化で実情をわかってもらい、会社が社員家族を守ることを大切にしているメッセージを発信して理解を深めてもらった。次年度の経営計画ではウィズコロナを見据えた施策の方向性を明確に公表していくつもりだ。
事業としては3月から厚木の倉庫で流通加工を開始した。ガラスと枠を組み立てて完成品にし、配送まで行う。当社として流通加工は初めての取り組みで、今後拡大していきたい。
― 最後に自転車シェアリングについて一言。
(置田社長)横浜市は他地域に比べても大きな伸びとなっている。都市の中で自転車が公共交通機関に代わるものとして登場したのだが、これからは自転車だけでなく他のモードにも幅を広げられないか、線を面に広げられないかと思っている。投資も絡むがパートナーの横浜市、ドコモバイクシェア社ともいかに充実させられるかを話し合っている。